ロックミュージシャンてのはクソったれであるべき。
そんな願望をこねくりまわし、ヒト型に具現化したような人物。
それが表題になっているバンドのフロントマンのひとり、その名もピート・ドハーティ。
そんな彼と、あともうひとりのフロントマン、カール・バラーがこのバンドで成しえた奇跡、ファーストアルバムの「リバティーンズ宣言」は邦題がクソダサいが、歴史的な名盤である。
いきなり余談を交えるが「リバティーンズ宣言」この邦題をつけたヤツはマジで責任をとってほしい。そのまま原題のままでいいじゃん。ただもうつけちまったもんはしょうがない。
「へぇリバティーンズ好きなんですね、好きなアルバムは何でしょう?」と伺った時に「やっぱUp The Bracket(原題)かな~」とか言われたら、なにカッコつけてんだクソブスが、ドーバー海峡に沈めたろか、と思う。うそ、ぼくも好きだよハニー。
初めに言っておくとこのアルバム、このバンドに重たい音とかキレイな音とか期待しないで欲しい。
基本的に「へなちょこ」。音はローファイだしギターはペキョペキョだし基本的にBPMとかいう正確な概念とかないし、なんというか「酔ってるでしょ?」って問いたくなるカンジ。でもねロックンロールってのは上手さじゃないのだよ、衝動なのだよ、ショウドウ。
ふたりのフロントマンが曲を作っている、共作というヤツだ。レノン&マッカートニーみたいに。
といっても曲には傾向がある。それはどっちがメインボーカルをとっているかで、どっちが作っているのか、どっちの嗜好が強いのかよく分かる。レノン&マッカートニーみたいに。
両名がメインをとっている曲もあるのでなんともいえないヤツもあるのだが。
ピートはロマンチックでポップでメロディックな曲を作る傾向がある。
それは3曲目の「Horror Show」でロックンロールに乗せてやってくる。音はとても雑なのでジャカジャカとうるさいギターとピートのねばっこい声質に乗せてロックンロールしている。
続く4曲目「Time For Heros」でもよくわかる。このポップでキャッチーでそしてどこかオシャレ、それも不器用な。この不器用なオシャレ感がなんともいえない。そしてロックンロール。
7曲目「Up The Bracket」では頭のおかしなヒトの声から始まるのですが、これもまたピート。この曲はピートにしては尖っているカンジなのだが、もしかしたらカールが作ってピートが詩を書きうたっているのかもしれない。あとやっぱりポップな部分を入れてくる。
しかし6曲目「Radio America」はメロウで叙情的な、11曲目「The Good Old Days」ではダウナーなメロディの立ったクールな、そしてちょっとセンチメンタルなこういった曲も展開させることが出来る。ミュージシャンとしての一流の才能の片鱗を見せてくる。
そして9曲目の「The Boy Looked At Johnny」はもう何言ってるかわかんないうえにラララライ。ふざけてるわけではないですよ~。
カールはパンク寄りで勢いのあるロックンロール色の強いかっこいい曲をつくる傾向。
そしてイケメン。
とくに5曲目の「Boys In The Band」は必聴である。かっこよすぎるし、そしてサビ後半のドラムが頭打ちになる部分なんてのは激ポップなアレンジとなっている。なにこれ、良すぎるでしょ。
1曲目の「Vertigo」なんてのもカールがリードボーカルを取っている。この曲の始まりのつぶれた音のギターが鳴り出すととぼくはウキウキする。あ、リバティーンズが始まるって思う。雑で2000年代の音楽とは思えない音質なのにかっこいい。
10曲目の「Begging」なんてのを聴くとカールはやっぱりかっこいいパンクなロックンロールを作るな、と確認する。
これはリバティーンズが活動休止中にカールがやっていたバンド Dirty Pretty Thingsを聴くとよくわかる。こちらもおススメだ。
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そのダーティぽい、いやカールバラーの曲ってのが顕著に分かるのが12曲目の「I Get Along」だ。単調なリフで単調なパンク。でもだからこそカールバラーの初期衝動がつまっている。カネも無いし汚いアパートでピートと同棲状態だけども俺は俺の音楽でやってくんだって意志。ロックンロール。ゲロロンゲロロンゲロロンゲロロン。イカス。
カールの曲はかっこいいが、ここで問題なのはピートのコーラス。コイツのねばっこい声はコーラスに向かない。目立ちすぎる。パンチがありすぎる。存在感がありすぎる。
いいアルバムだしピートのことが好きなので「そこがいいんだけどね。」と、無理矢理感情を押し込めるが。
2曲目「Death On The Stairs」や8曲目「Tell The King」なんてのは曲の前後半でボーカルが交代する。ライブとかじゃスタンドマイクにふたり寄り添いあい、見つめ合いうたっている姿をよくお見受けする。こうゆうのもアリなんじゃないかと、ぼくのなかでナニかが芽生えそうになるのはここだけの話。
「Death On The Stairs」はこれぞリバティーンズ!といったパンクでポップでロックンロールな一曲。ギターだってへなへなだけどフレーズなんてオシャレ。全部ひっくるめてロックンロール。かっこいい名曲。
リバティーンズはこのファーストとセカンドを出して活動休止となる。原因はピートの薬物依存やらそれによるメンバー不仲。とくにピートとカールの。
カールはリバティーンズのドラムゲイリーパウエルと上記のダーティプリティシングスを結成し、ピートはソロやベイビーシャンブルズを結成する。
これらのバンドもいわゆるロックやパンクやポップに限定されることがなくジャンルは「リバティーンズ」どと思ってもらっていい。
とくにベイビーシャンブルズのコレは意外性もあってかなりお勧め。
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そして彼らは再結成しサードアルバムを発売する。これは前2作に比べると名作とはいいがたいけれどリバティーンズには必要なアルバムであった。
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これもまた邦題がダサいが、流れ的にしょうがないと納得している。
彼らの再結成に際して、ぼくはイギリスの大型ロックフェスティバルに参加しようと思った。「日帰りなら土日でイケル!!」と。
しかしイギリスからニッポンへ日帰りで帰ると、時空の歪みのせいなのか3日ほどの日時が経過することが判明し断念した。
きっとバルミューダトライアングルのせい。