猫も杓子もディランディラン。
デュランデュランではなく、ディランディラン。
賛否両論あるだろうか、そんなことは個人的にどうでもいい。
浅学の僕にはノーベル賞がどんだけ価値があるのかよくわからんし、ディランのスタンスもそんな感じだし。
テレビニュースの街頭インタビュー。
あなたにとってディランとは?なんて質問。
新橋辺りのオジサンたちの答えは「昔聴いていた」とか「おれの青春」とかだった。
ディランはいまでも音楽を続けているのに、いつからみんな音楽を聴かなくなってしまうのだろう。
結局、ディランが好きなワケではなく、流行っていたから聴いていたんだろう。
なんだか寂しくなってしまう。
僕もいつか、そうなるのかな?
そういうことで僕はアイデン&ティティをみんなに読んで欲しい。
日本のMJこと、みうらじゅんの作品だ。
あらすじをwikipediaより引用させていただこう。
バンド・ブームに乗ってメジャー・デビューしたSPEED WAY。デビュー曲がそこそこヒットし、女性ファンも増えた。しかし、ギタリストの中島は、本当のロックを求めて葛藤する。そんな時、中島が暮らす高円寺のアパートに、ボブ・ディランのような風貌の、謎めいたハーモニカ吹きが現れた。その姿は中島にしか見えなかった。やがてバンド・ブームは終息。ある事件をきっかけに、中島は自ら歌うことを決意するが…。
ロックとはなんぞや?と中島がロックを探していく話です。
これは今、大人になった地点から読んでみるとなかなかキツイものがあります。
みんなほどほどにロックが好きで、ほどほどにバンドをやって、ほどほどに辞めていく。
ロックが好きなわけではなく、ブームが好きだったんだ、と。
ニッポンにはそもそもロックなんてなかったんだ、と。
葛藤に抗うとき、間違いを犯したとき、進路が見えなくなったとき、ドラえもんのようにディランが現れます。
へたくそなハーモニカとギターで歌を伝えます。
その抽象的なデイランの歌詞に中島は自分がすべきことを汲み取るのです。
いやディランが意味不明なことを歌って、中島がそう勝手に感じているだけなのか…。
いま読んでみてもハッとさせられるようなカッコいいこと書いてあります。
呼吸の仕方を知っているなんてそれだけで奇跡だぜ!
ちなみに僕は映画からこの作品を知りました。
映画も面白いですよ。ゴイステの銀杏ボーイズのミネタが中島です。似合ってます。
映画はアイデン&ティテイで終わりますが、単行本はマリッジという続編が続きます。
中島はアイデン&ティティ編で「ロック」がなにかをを模索しましたが、マリッジ編は「愛」がなにかという問いと戦って行くのです。ちなみにマリッジではジョンとヨーコがその伝道師として登場しています。
中島の彼女が出てくるのですが彼女もなかなかに中島にロックを教えてくれます。
キミのロックを、と。
ディランは指し示してくれますが、彼女は受け入れてくれる存在です。
映画では麻生久美子さんが演じています。クソかわいい。
みうらじゅんの絵もそこそこクセがあって好きです。苦手な人はいるでしょうが。
まぁまずは映画から観てみてください。
バンドをやっている人、やっていた人。
ロックが好きな人。
世間と自分との間に壁の存在を感じている人。
物理的な意味でなく、道に迷った人。
そんな人におすすめです。
ディランの文学賞について少し意見を述べさせてもらうと、歌詞の受賞はアリ、だと思います。
文字の伝達がなされなかった時代、物語や詩を伝えるのは吟遊詩人の役目だったのですから。文学の原初的なものだなー個人的に思います。
愛しかない、それが世界を動かしている。
それなしではなにもできない。