私は恥じている。
酒が好きだ、ということを。
それを暴露した時、何故かあられもない姿を人に見られてしまったような感覚に陥る。
心の弱さを露呈するようで恥ずかしいのだろうか。
趣味:酒 という構図に於いて2種類の人種がいる。
単純にその価値、単体として酒を好きな人種と、飲んだ結果、酔うのが好きな人種だ。
酒を好きな人種はその歴史や製造工程などにも明るい。
もちろん原材料、相性の良い食べ物、美味しいお店なども知っている。
深めた見識により、友人同僚など酒の席を一緒にする人々を楽しませることも出来る。
しかし酔うのが好きな人種はそうでない。
つまみなんてなんでもいいと思っている。
飲めるものならなんでも飲むし、工業用エタノールで酔拳もできる。
酒の席では泣き、喚き、笑い、怒り、暴れ(酔拳)、情緒不安定。
そこまでいかずとも基本的に愚痴をこぼしてはクダを巻く。
というか基本的に家で独りで飲むのでなんの生産性もない。
そう、この、なんの生産性もないことを恥じているだ。
しかし酒を飲んでしまう。眠れないのだ。つらいのだ。
日々生きているとたくさんの人間の嫌な部分に触れる。
悪意や憎悪や怒りや妬み、強欲、傲慢、狡猾、怠惰。
こんなことを書くと、病んでいるのか、とか、精神的な疾患があるのか、と疑われるだろうがそんなことはない。
時折激しい憂鬱の波に襲われることはあるが、それは誰しもにあることでしょう。
まぁ、そうして人間の嫌な部分に触れる。
すると自分の心に汚れが付着するような気がする。
目には見えないのだが、手垢のように確実にペタリ、ペタリと私のガラスのハートを曇らせていく。
手垢にまみれた曇ったハート越しに見る世界はとても見難く、醜く、そして汚い。
そこで汚れたハートを綺麗にしたい。
除菌したい。
怖いのだ。
人の精神的分泌物が。他人からくる感染症が。汚れが。
潔癖症なのだ。他人の作った握り飯が食えないシンドロームなのだ。
そこでアルコール除菌です。
私は、心を除菌するために酒を飲んでいる。
アルコール除菌は万能だ。
この現実的マテリアルワールドに噴霧すればあらゆる細菌を滅してくれる。
更には体内に摂取することによって精神的スピリチュアルワールドさえも除菌してくれるのだ。
ガラスのハートに付着した人間の汚い部分をアルコールで洗い流す。ふき取る。
アルコールの濃度は強ければ強いほうがいい。
ビールやワインで洗い流すのもいいが、結局はウイスキーや焼酎の蒸留酒に落ち着く。
もちろんそれはコストパフォーマンス的にも。
そうして都度都度、心を綺麗にする。
さっぱりと晴れやかな世界が訪れる、ことは無い。
肉体的には二日酔いというカルマが訪れる。
精神的には後悔が募る。
苦しみ、足掻き、それでも会社に行く。
そこでまた汚れては、夜な夜な酒を飲み、また洗浄作業に入る。
この無限ループです。なにも解決しません。
それでも私は
余談ですが、地元の友達が共に上京してきた時、
「東京の汚れた空気に負けない肺を作る」
と言ってタバコを吸い始めました。カッコいいなと思いました。
少し寒くなってきましたね。
焼酎のお湯割りがおいしくなってくる季節です。
今日はなにを飲みましょう。