夏になると、ふと針を落としたくなるアルバムがある。
針を落とすといってもコンパクトディスクだから読み込むんですが。
曲にはなぜだか季節感というものが香気付くことがある。
それは歌詞から感ぜられるものもあれば、曲調から感ぜられるものでもある。
そんな夏のにおいが漂うアルバムを列挙してみた。
ウルトラ個人的であり、さらにいえば育った時代の音楽もあるだろう。
これを「夏おすすめのアルバム9選!」とか申し上げるつもりは毛頭ない。
以下9枚にしてみた。
9枚にするやつ流行ってたじゃん。やってみたかったの。
エレファントカシマシ ライフ
エレカシのライフは夏になったら聴きたくなるアルバムとして真っ先に浮かぶ。
というかこれは聴かなきゃ夏が終われないっす。
夏のあつい空気を鼻腔に吸い込む感じ。
燦燦と照りつける夏の日差しの向こう側、いっそう翳った部屋で寂寞とする感じ。
陽の永い午を、その熱したアスファルトを夕暮れが冷ましていく感じ。
からっとした晴天ではなく夏の寂しさのようなものが現れている完璧なアルバムだと思う。
「部屋」「暑中見舞い」「普通の日々」「真夏の革命」
大好きです。
イースタンユース 感受性応答セヨ
- アーティスト: eastern youth,吉野寿
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2001/08/08
- メディア: CD
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イースタンユースのイメージは「夕暮れ、商店街、絶唱」の三単語でカタロニア讃歌。
そんな彼らの代表作を選んでしまった。なんてたって暑苦しい。こんなに暑苦しいバンドいますか?とにかく暑い、というか熱いバンドなので夏に聴きたくなる。
「踵鳴る」が有名なのでしょうか。それよりも「夜明けの歌」がすごく好き。そして「素晴らしい世界」で終わるのも好き。「アバヨ、風の残像」のように疾走感ある曲も多いので、聴くたび生ぬるい風が頬をかすめる感じがする。
夏の気だるい午後から黄昏に聴きたいアルバム。
100s ALL!!!!!!
六人いるからエクスクラメーションマークむっつ!!!!!!
と覚えている100sのオール。中村一義率いる楽団。
中村一義っぽくない作品だと思う。賛否がわかれるのはわかる。
ただこのオールは中村一義の楽曲にひっぱられることなく、全員がバンドを楽しんでいる感じがある。初手「そうさ世界は」からバンド感全開なアルバムである。
基本的に中村一義というのが「冬から春」っぽい人だと思っている。
だから大所帯でこのお祭り騒ぎ感のあるALL!!!!!!が夏に聴きたくなるのかも。
とくに「まんまる」や「ももとせ」がそれを助長している。この2曲大好き。
ちなみに私は玉田豊夢がいちばん良いドラマーだと思っている。
スーパーカー スリーアウトチェンジ
- アーティスト: スーパーカー,石渡淳治
- 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
- 発売日: 1998/04/01
- メディア: CD
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私はスーパーカー世代ではない。
だけどもこの感じはなんですか。普遍的な青春への躍動。
疾走感や爽快感がある曲もあるけれど、この霞がかったもやもや感もとても好き。
けっしてド直球な真ん中ではないダウナーな青春が爆発している。
ナカコーのウィスパーなボーカルはその形式と裏腹に表現への渇仰が迸っている。
大好きなアルバム。ただ夏感ということで瑞々しいハイヴィジョンと右顧左眄した。
だが夏に象徴させれる「青春」というカラーにスリーアウトチェンジをチョイスしたい。
ありきたりだけど「cream soda」や「DRIVE」がいちばん夏っぽいのかしら。
曲も好きだけど、スリーアウトチェンジってアルバムタイトルからか、ドラムのスネアがキャッチャーミットにボールが入るような「スパン」という音がしていて好き。
ユニコーン ケダモノの嵐
なんかふつうに名盤ばかりあつめてしまって忸怩たる思いなのですが。
ウクレレという撥弦楽器からはじまる「命果てるまで~」からアルバムがスタートするので夏っぽいと思っているのかもしれない。
でもなんといっても「自転車泥棒」がすんごい好き。
あのノスタルジックな雰囲気というか、日本の夏のぼやけた雰囲気、それはきっと揺曳する陽炎や湿度でぼわぼわした空気感なんだろうけど、そこに一陣の風が吹き抜けたような美しい思い出の結晶がこの「自転車泥棒」という曲にはあると思う。
「働く男」や「スターな男」なんて有名なやつもあるけど「夜明け前」がけっこう好き。
くるり 図鑑
くるりほど日本の四季が似合うバンドはいないと思っている。
図鑑というアルバムは烈しい。さよならストレンジャーから聴いた私は驚愕した思い出がある。だけど、その懊悩が閉塞していてじめじめしている陰惨なアルバムだと思う。
だからか、からっと晴れた夏本番ってよりも「6月後半の梅雨期にはいるころ~それが明ける7月半ば頃」に聴きたいなぁという印象。
「マーチ」「青い空」や「街」はもちろんだが「宿はなし」がけっこう好き。
ちなみに夏本番は「TEAM ROCK」、夏の終わりには「言葉にならない、笑顔をみせてくれよ」、秋の入り口には「ワルツを踊れ」が聴きたくなる。
だけど図鑑をチョイスしたのは夏の鬱屈した「じめじめ感」を認めたかったからだと思う。くるりで日本の四季は回る。
HUSKING BEE the steady-state theory
- アーティスト: HUSKING BEE,磯部正文,平林一哉,AYAKO
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2002/09/19
- メディア: CD
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フォーカラープロブレムが一般的にハスキンの名盤ってな感じがしている。
でも、なんか、夏といえばこっちなんです。個人的に。完全に高校学徒の思い出アシストです。高校のころ、これ聴きながら自転車を運転していた。
いっそんの声は暑苦しいけどこのアルバムは平林が歌う曲が多く、さわやか。
ベックというバンド漫画がアニメ化されたとき「ハスキンが歌うって!」ってなって「うわー、いっそんの声はコユキじゃねーだろー」なんて言ってたら平林だったときの「あ、そっち…」感。いい声しているけれども。
「新利の風」でクラムボンの曲が流れる。個人的につぼ。良いアルバムだと思う。
銀杏BOYZ 君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命
- アーティスト: 銀杏BOYZ,峯田和伸
- 出版社/メーカー: UK.PROJECT
- 発売日: 2005/01/15
- メディア: CD
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DOORと迷わない訳ない。
というか「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」を選んだのは消去法であって、ドアーに「惑星基地ベオウルフ」という冬っぽい曲がはいってしまっているからってだけの理由です。でも個人的に「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」のほうが好みかもしれない。
なんとなく僕たちは、むせ返る夏の青臭さに、というか、夏の閉塞された自分の部屋の汗くささ、人の油脂くささ、なんかへんな分泌物のくささに銀杏ボーイズを喚起してしまう。
もうとにかくぐしゃぐしゃ。あとCDの音量のレベルが高いのなんとかしろよ!と思うアルバムだけど、峯田の作る曲って最高にロマンチック。それはゴイステ時代から変わらない。「駆け抜けて性春」は私の青春ソング。「漂流教室」のきらめき。「東京」を聴くと歌詞のなかの主人公になってしまい、滂沱として涙が溢れる。
GOING UNDER GROUND かよわきエナジー
- アーティスト: GOING UNDER GROUND
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2001/10/24
- メディア: CD
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ゴーイングはこの「かよわきエナジー」から「TUTTI」の勇躍がすごかった。
とくに「TUTTI」というアルバムの完成度が凄まじかった。あれが売れないのはおかしいと思っていた。
「かよわきエナジー」はとても良い。私はよく「メロが強い」という表現をするが、このゴーイングアンダーグラウンドはメロが強いバンドの一端であると思う。
疾走感と甘酸っぱさと、そしてテンコ盛りのセンチメンタルが途轍もないアルバムであり、その感覚にとても夏を想起する。
「グラフティー」から「センチメントエキスプレス」の流れが完璧すぎるほどの疾走する青春感。そのあとの「雨の樹」がめちゃくちゃメロが強い。「凛」なんてのも夏の夜のときめきがただよっている。このままいくと捨て曲がなく、すべての楽曲を言及してしまうのでこのへんで終わりにします。めちゃめちゃ好きなアルバム。
まとめ
たいしてまとめることもないけれども、こんな感じです。
選んでいるときに思ったのだけれど、私は思い出で音楽を聴いている。だからか最近の音楽はあまり聴いていないのか。でも共に越えた夏が多いのだから昔聞いていたものが多いのは仕方ないと思う。
ほんとはもっといろいろ入れたかった。
けど、ただこの9枚のやつがただやりたかったので9枚に絞ってみた。
興が乗ったら海外編もやりたい。もっと洒落てる奴をえらぼう…。
今週のお題「私の『夏うた』」