先日。銀杏BOYZが新曲を出した。エンジェルベイビーという曲だった。聴いた。良い曲だな、と思った。峯田らしいメロディだな、と思った。いまや彼も朝ドラ俳優のようだ。見たことないけど。
そんな峯田和伸は、青春パンクという奇矯なフレーズが流行ったあのころの俺らの英雄だった。青春パンクを歌って英雄だったあいつが、今じゃNHKの朝ドラ俳優だってよ。
私がゴーイングステディを知ったのは「東京少年」という曲だった。衝撃的だった。歌じゃなくて叫びだった。公開生録音で放送事故だと思った。でもスタジオ録音盤だとやまだひさしがラジアンリミテッドで言っていた。絶賛発売中!しかも500円!と言っていた。
私は欲望した。500円玉を握り締め、呉服町のすみやに行った。無かった。パルシェのバージンにも行った。無かった。あれは夢だったんだ…と思った。
その後「さくらの唄」というアルバムが出た。これが凄かった。高校時代の半分はこれを聴いていたかもしれない。どの曲も相当な熱量に見舞われていた。そしてなによりロマンチックだった。
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峯田の作る曲はロマンチックだと思う。もちろん衝動的な音も多かった。でも峯田の本然はその妄想世界のロマンチシズムだと思う。さくらの唄でいえば「BABY BABY」、「銀河鉄道の夜」、「星に願いを」などだと思う。とにかくキラキラしていた。
その当時は青春パンクが盛隆していた。というか日本のパンクロック、っちゅうかブルーハーツも流行っていた。たしかあれ香取信吾のスリーピースのやつ、ドラマがやっていてそんで楽曲が取り上げられていたからってものあると思う。でなんかそういう若者の衝動、立ち向かっていこうぜ!的な音楽が流行ってた。それが青春パンクなんて寒々しい潮流となった。でもゴイステは青春パンクなんかでは括られないバンドだったと思う。
それはきっと峯田のそのロマンチシズムってか、当時の言葉で言えば、恋とロックと退屈なんて言葉で形容される一種の譫妄状態。それは退屈な現実、やるせない世界、どうしようもない自分からの逃走、または闘争における相反する世界の構築じゃないかな、となんか賢しらぶって言ってますけど、とにかく峯田の曲ってそのロマンチックな点で他の青春パンカーたちと一線を画していたと思う。
峯田はイノマーに出会い、変貌する。どろどろのリビドーを全面的に押し出すようになった。服装も奇矯なものとなっていった。しかしゴーイングステディというバンドの絶対的な方針はそこまで変わらなかったと思う。「駆け抜けて性春」が出たときは震えた。
そしてゴイステは「若者たち」、「青春時代」を出して解散を表明した。私の青春が一幕閉じた気がした。そういえば「童貞ソーヤング」なんてのもあった。たしかあれは売れた。しかし、なんか狙っている感があって好きではなかった。ってか当時サンボマスターがドラマの曲やるっつってそれを峯田は批判してたクセに、どの口が言ってんだ、と思った。でも私はそんな峯田の人間くさいところも好きだった。
高校生の時分というのはバンドを神格化しやすい。神ってるーなんつって。でも峯田はそういう感じではなかった。上記のように人間くさかった。ブログもポエマーだったし。まぁめっちゃ読んでたけど。朝焼けにゃんにゃん。なつかしいからリンク貼っとこ。
峯田和伸の★朝焼けニャンニャン - livedoor Blog(ブログ)
そして銀杏BOYZになる。
「峯田またバンドやるってよ!」「えっまじ?誰と?」「ひとりで」
エレカトリビュート花男「だだっだだっ!かなしみのぉおおはてぇにぃ~。△※○□#Θってんだろぉ~だだッだだっ」
あの衝撃は忘れられずにいまでも夢に出てくる。
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なんか峯田のクロノロジーみたくなってしまっているけれど、銀杏はけっきょくバンド形態になった。そして同時多発的に出した2枚のアルバムは超絶名アルバムだった。なにも語るまい。
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銀杏ボーイズは峯田のワンマンバンド、なんて思われますか。そんなことはない。このバンドはまじですごい。ベースのあびちゃん、すごい。この人たぶん日本のベーシストのなかでも凶暴なベースを弾かせたら10本の指にはいる。とにかくうねる。運指が途轍もない。はちゃめちゃ。なんでそんな意地悪な動き方するの、と思う。安孫子氏がいなかったたゴイステもただの青春パンクバンドだったかもしれないし、おそらく峯田もバンドにそこまで深入りしなかったかもしれない。あびちゃんがゴイステ銀杏を支えていた。
あとチン中村氏もすごい。ギターのセンスが半端ない。銀杏ボーイズでは弾いているんだか弾いていないんだかよくわからないことが多いが、ちゃんと聴かせる曲はそのフレージングが曲の肝要となっている。ストラトだと思うんだけど峯田の楽曲に寄せてキラキラしたフレーズややわらかいフレーズ、エフェクターにたよらない音符の羅列でその眩耀を表現できる人だと思う。いまでも半分アフロ半分ボウズだった髪型は覚えている。
村井はがんばれ。でも銀杏ボーイズはバランスが良いバンドだったと思う。ゴイステ、銀杏の焦燥感はへたくそな村井のドラムも相まって、じっさいそれは良い効果をだしていたんじゃないかな、なんて思う。後付的な感じだけど。でも峯田のうしろは村井だな、と思う。
ゴイステは、見事にその峯田のロマンチシズムに現実的なもやもや、リビドーを攪拌させ、若いだけではない衝動、大人になりきれない、でもならなきゃいけないんだろうか、というアンビバレントな懊悩を銀杏ボーイズの伝説的二枚のアルバムで体現したんじゃないかな、っておれすげぇかっこいいこと言っている。ロマンチックな衝動からロマンチックな狂気へとトランスフォームしたんだな、と思う。
ちなみにこれから先のことは知らない。あどわなだい、みたいな曲は聴いたけど峯田の短パンがキツくてやめた。
別にこの日記でなにが書きたいって訳じゃないんだけれども、なんかエンジェルベイビーを聴いて、俺は峯田が好きだったな、と思った。てかアイツも俺の人生を狂わせた戦犯だなと思う。いいメロディを歌う人だと思う。それは普遍的なもので、誰しもの腹の底に眠るなにか、それは時にプラスであったり、マイナスであったりするけれど、それを呼び覚ますような歌詞を歌う人だと思う。
いまではアイツも立派な気持ち悪いおじさんになっている。ずっと生きていてほしい。