過日。ツイッターのタイムラインに以下のツイートがながれてきた。勝手に引用するけれど、なんか有名人っぽいのでだいじょうぶでしょう。
この2つの写真を見てください。両方とも3歳児の脳です。
— 駒崎弘樹@スタディ・クーポン応援中! (@Hiroki_Komazaki) 2017年10月24日
片方は普通に育てられ、片方はネグレクトを受けた子どもです。
虐待は、子どもの脳に物理的に影響を与えてしまう。
そして虐待を防ぐためには、親をケアする早期介入が有効です。https://t.co/Uib5IUQin9 pic.twitter.com/BuiffXquub
ふーん。ネグレクトってやばいな。とか思う前に上記文面の「普通に育てられ」という一文が、やけに胸に残滓をおいていく。「普通に育てる」ってなんなんだろう、という思惟が瘧のごとく私を惑わせ、我執、妄執、のちに鬱然となって死にたくなった。
ネグレクトという言葉は知っている。いわゆる育児放棄である。上記のツイートは、ネグレクトを受けた幼児は脳が発達せず、ネグレクトを受けていない幼児の脳よりも縮小されたものになってしまう、という随意を記載したものであろう。
じゃあ、ネグレクトをうけていない、と書けばいいじゃん。なんだよ「普通に育てられ」って。と思った。私は料簡の狭い斗筲の人なので、こういったちいさな表現に拘泥してしまう。
「普通に育てる」という表現は、かなりあつれきを生む表現だとおもう。はたして、この世に生きるすべての親で「自分は子どもを普通に育てています」と高らかに言える人間がどれだけいるのだろうか。
普通の家庭環境とは
私がおもったのはまず家庭環境のことだった。いろいろな家庭環境があるだろう。かくいう私も母子家庭という片親の状況でいきてきた。すきま風ふきすさぶ、破れくさった畳の上で、裸電球を中空にぶらさげたせいかつは、バブル崩壊直後といえど「ふつう」のくらしではないだろう。※誇張した表現があります。
私はいままで母子家庭を恥じたことはないが、これが「普通に育てられた」状況か? と問われれば、そうではないと思っている。父もいなければ、カネもない生活だった。
では私は、ふつうの両親健在、祖母祖父在命、中流家庭、犬猫亀同居、のいっぱんてきな「普通に育てられた」人と比較して、脳が萎縮しているのか。そう、答えはこんな日記をかいていることから察せられるとおもうが、たぶん萎縮しているだろう。
しかしそれは私個人のことである。おなじ母子家庭であってもきちんとした人はきちんとしている。むしろ、めちゃくちゃ聡明な御仁だっていらっしゃる。それは「普通に育てられた」御仁よりも豪儀だな、とおもうお方だったりする。
現代趨勢。片親家庭はぞうかしているらしい。そういった親たちが胸をはって子を普通に育てているとおもえるのだろうか。私の親はそうではなかった気がする。だって片親のぶん、よりいっそう他の親の二兆倍、努力をしてくれていたと思うからだ。
しかし、それは片親だけが思うことではないと思う。「がんばって生きていかなければ」と、親になったもの全員が、子育てに眦を決するのだと思う。この親たちの努力を「ふつう」と呼ぶべきではないとおもう。
親は戸惑いながらも全身全霊をもって子を育てている
子育てってむつかしい。まようことが多い。ちゃんとした大人になってほしいな、とか、やさしい人になってほしいな、とか思いながら教育をしている。浅学な私が「教育」などというのも烏滸の沙汰であるが。
その懸命な姿勢を「ふつう」と形容するのはどうなんだろうか。がんばって育てた、とか言うべきじゃないの? あん? 掛ける言葉ひとつを見つけ出すのに、無窮にひろがる砂漠から一粒の真珠をさがすようなときだってある。
たしかに子育てはがんばってするものではないと思う。ただ、この努力を「ふつう」と形容してはいけない。子を愛する親はぜんいんがんばっている。そうおもう。それを育児関係で銭をもうけている人間が「ふつう」といってはいけない。「親のケアが必要」とか言う人間が無闇につかっていい言葉ではない。ものの発言には「誰が言うか」というのはとてもたいせつなことだ。
普通にそだてるとは、なんなんだ
ただの言葉の揚げ足とりになってしまった。ただ、普通にそだっていないであろう私にとって、「普通にそだった」というフレーズはどうも釈然としないものがある。また、親の立場としても「普通に育てる」ってどうゆうことだ… という索漠とした疑念がわいたので日記に記載させていただいた。私の愛する息子はふつうにそだっているだろうか。ちゃんと脳が発達しているだろうか。まぁしてなくても超好きだけど。
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