流れるツイッターのタイムラインを眺めていると「シシャモを聴くとフーバーオーバーを思い出す」と云ったものが目に留まった。シシャモとはSHISHAMOという日本のバンドのことで、じつは私、聴いたことがなかった。で、聴いてみた。フーバーオーバーが聴きたくなった。
フーバーオーバーとは、これまた日本のバンドで二〇一二年に解散をしているバンドだ。高校生のころ、バンド雑誌に付属されてきたコンピレーションアルバムにフーバーの曲がはいっていた。そいで、かっけぇ! てなって「Art No.5」というアルバムをよく聴いていた。
- アーティスト: フーバーオーバー,岩沢正美
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※アマゾンにコピコンしかなかった。こうみるとコピコンもなつかしいですね。
先に申し上げておきたいのは、これはシシャモが焼きまわしのバンドだとか、パクっているとかではない。私はなんとなく「万物は流転する」、と云うとちょっとちがうか。なんというか永劫回帰ってかんじのやつ? 輪廻転生てきなやつ? みたいなことを思った。
かつて英国にビートルズというバンドがいて、彼らはバンド演奏の概念を打ち壊した楽曲を生み出してきたのだけれども、それを踏襲したのがXTCというバンドなんじゃないかな、なんておもっている。いや、これは賛否を生む発言だとおもう。ごめん、たんじゅんに俺がビートルズ、XTC狂いなだけだ。
二〇〇〇年代にガレージロックリバイバルが成されたが、それもそうだとおもう。ガレージロックで有名なのだとキンクスか。俺は初期キンクスをガレージロックだとおもっている。キンクスやソニックス、個人的に好きなリッターでやっていたチープでソリッドな衝動味あふれるロックンロールを、ストロークスやリバティーンズやアクモンが現代性を帯びながらよみがえらせた。ストロークスは洗練された都市性、リバティーンズは倦怠てきなポップネス、アクモンはより強力な衝動と才幹をくわえて。さいきんのシティポップブームもそうなんじゃないかね。
そういったかんじで、音楽も生まれ変わっていくのだなぁとおもう。あたらしい姿であたしい世代に聴かれていくのだナァとおもった。シシャモは「2」と「4」というアルバムを聴いてみた。レッドツェッペリンも「Ⅱ」と「Ⅳ」がいっぱんてきに受け入れられているので。
このシシャモというバンドはすごく好いバンドだった。「SHISHAMO2」はあまり聴いていないのだけれど、ガールズバンド直系であるチャットモンチーふうの膂力のあるギターフレーズに、おんなのこらしい可憐な歌声がゆれていた。なんとなくaikoっぽいな、とおもうのはメロディを捨て鉢気味に半音階でうたっているところとか、その歌詞の乙女チックなぶぶんなのだろう。
よく聴いているのは「SHISHAMO4」だ。このアルバムがとてもフーバーっぽかった。フーバーオーバーの好さにポップで軽快なギターフレーズというものがあるのだけれど、そういった休符を交えたスタッカート気味のリフレインや、途次で展開される、いなたいギターフレーズ、軽やかなロカビリっぽいかんじが踏襲されているんじゃないかな、なんておもう。俺はフーバーオーバーのギターけっこう好き。かんたんなペンタがおおいけど、音階が踊っているようだもの。
シシャモさん、すげーって思ったのはこの「4」のラストに入っている「明日も」って曲で、これをちょうふくして聴いている。なんなんですかこの暴力的な転調は。ギターで音をとっていないから正確に記載できないけれど、まったく別の曲のコード進行をもってきたようなサビで、ちょっと震えた。しかもそれをナチュラルにやっちゃうんだもの。天才だった。年齢を重ねると音楽を音楽たらしめるように考えてしまうので、こういった斬新なことをされると、ほんと参る。
- アーティスト: SHISHAMO
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シシャモはなんだか、頃日の音楽界で陽の光をあびているようにかんじる。しかし、フーバーはそうでもなかったようにおもう。じっさいあんまり売れてなかったし、曲にもその「翳り」みたいなのはちょっとあるとおもう。
フーバーのボーカルは岩沢正美という女性なのだけれども、なんというか「心ここにあらず」的な抑揚の目立たない発声でうたう。それなのに軽やかな早口ことばのような詰め込んだ歌詞を流麗にリズムにのっけていく。日本語というモーラ言語の一文字一音でありながらシラブルにアクセントをつけない平坦な歌唱が連続されるかんじが抑揚なく聴こえるのかもしれない。が、当時、青春パンクブームで拍とメロディが蜜月としていた楽曲がおおかったので、これがめちゃくちゃ斬新だった。
ながくなってしまったのでこのへんで終わりにしたい。ユーチューブにあまりフーバーの映像がなかった。あっても公式じゃないやつもある。「まみむめも」とか。でも一応リンクをつけておきたい。俺が好きなので。
もしシシャモが好きならきっとフーバーも好きになるとおもう。アップルミュージックには「A型センチメンタル」というアルバムと「タイマー」というミニアルバムがあった。両方とも好いアルバムだ。聴いて欲しい。
- アーティスト: フーバーオーバー
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逆説的に云えばフーバーが好きならばシシャモも好きなのかもしれない。おれはシシャモ好き。こうしてフーバーもシシャモも同時に聴いていたい。ってかまじでフーバーは今聴いても楽曲が褪色していないな。すてきです。いまさらながらだけど、フーバーも売れてほしい。岩沢正美げんきにやってるかな。