まだロックが好き

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おめおめと生きている日記

三歳児検診にいったら心理相談室に連行された

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 先日。三歳児検診がおこなわれた。問診などの結果、「心理相談室にいきましょう」といわれた。とにかく息子は「落ち着きがない」とのことだった。

 

 たしかにわが子は落ち着きがない。受付では、おおくの子どもがお母さんの膝のうえにちょこんと坐していたり、椅子に腰かけて待機している。

 

 翻ってわが子は、四方八方に注意が散漫し、両手を振り子にして逍遥。えほんを読んでいるキッズがいればちょっと横からのぞき、矢庭にそのへんの若奥さんに声を掛ける、趣味は「ちょっかい」みたいな、軽率な行動がおおい。

 

 問診中の行動もそうであった。息子、私、問診担当、その三者で面談をおこなった。発育上はなんのもんだいもないとおもわれる。問診担当の質疑応答にはしっかりと返答できていた。ふだん「今日はだれときたの?」とか「どうやってここまできたの?」とか平明なしつもんなどしないので流麗に返答する息子に成長をかんじた。

 

 しかし、すこし時間がたつと息子は、わたしの膝のうえから逐電をはかった。事前に記載する受診票にも「落ち着きがない」という項目があったので「あー、そうそう! 落ち着きないよなーコイツ」とおもいチェックはしていた。

 

「いつもこうですか?」

「だいたいこうです。すぐどっかいっちゃいます」

「うーん、かえりに心理相談室があるのでよっていきましょうか」

 といういきさつであった。

 

 心理相談室に立ち寄った。結果からもうしあげれば息子は「親にあまえているだけではないか」とのことであった。というか、おれは息子にやさしすぎるらしい。

 

「落ち着かせるためにはもうちょっと手厳しく、親の都合にふりまわすくらいでよいのではないか」

 みたいなことを言われた。うるせぇよ。

 

 たしかに息子をあまやかしているとおもう。スーパーなどでかってにどっか行ってしまうのは「どうせ親付いてくるし大丈夫」みたいに思っているから、だそうだ。なんだかアニメとかで出てくる超富豪の嫌味なキャラが法を犯しても「どうせこんなこと親の権力でもみ消せるから大丈夫」って言う科白みたいですね。いやでも、ひとりにさせたらあぶないし、他所さまにめいわくがかかる。

 

 我が家は買い物のさい二手にわかれる。追跡班と調達班である。上記のように息子は逃走をたばかるため追跡班がひつようで、追跡班が息子をウォッチしているあいだに、調達班がおっとり刀でかいものをする。

 

 それが「落ち着きがない」ことのゆえんではないか、みたいなことを言われた。子どもに振り回されすぎ。ってゆうか、あまり子どものペースに合わせては親御さんがつらいでしょう、なんてニュアンスだった。まぁ他の子をみると「ラクそうだなー」なんておもうけれど。

 

 でも、そもそも「落ち着きがない」ということは悪いことなのだろうか。なんというか、育児において理非曲直を明白にすることなどできるのだろうか、とそうおもった。

 

 妙なフェミニズムを展開するつもりはないが、男の子はおちつきがなく、へらへらしていて、命に別状のない向こう傷がたくさんある、そのくらいのほうが「元気な男の子っぽい」のではないかな、なんておもう。

 

 たしかそれは櫛風沐雨だとおもう。でも、三歳児が落ち着いて読本、つみきを鄭重につみあげ寂寞と片付ける、親の指示には一も二もなく唯々諾々たる従順。なんてのは、いや、これ、すっごいラクそうだぞ! とおもうけどドラマチックではない。つまんねぇよ。ドラマチックに生きようぜ。

 

 さっこんでは育児書が横溢し、インターネットには道聴塗説たる教育法などが蔓延している。しかし、それらが権柄尽くなたいどで破邪顕正することこそが、育児に心安からぬおもいをあたえているのではないかな、なんておもった。

 

 うちの子は無理強いして落ち着かなくてもいいかもな。破れ鍋に綴じ蓋。なんて言うとちょっとちがうか。蛙の子は蛙。まぁそんな感じで、おれもそういう反逆の気質が三十を越えてもいまだにあるし、息子のこれは遺伝かな、なんておもった。

 

 あれもこれもいろんなおもちゃや興味のあることに手を出して、あっちにいったりこっちにいったり。できもしない自転車に乗りたがったり、志操堅固で強情っぱりで放縦不羈で、テレビ観はじめたらごはん食わないし、テレビ消したらめちゃくちゃ怒るし。まぁ、おれは男親で日常そんなに息子とからんでいないから言えることなのかもしれないけど、そんなん毎日がたいへんだからこそたのしいよ。

 

 でも「ようたくんのおちんちんゾウさんみたい?」と言いながらズボンをおろし、シャツをたくしあげ、睾丸にぺたりとはりついた陰茎を露見させるあの狂気については、心理相談すればよかったかもしれない。