まだロックが好き

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おめおめと生きている日記

サブウェイも一蘭みたいな注文システムにすればいいのに

 先日。サブウェイというパン屋に行った。おもにサンドイッチをとりあつかうパン屋で、おれは「エビアボカド」という商品をチョイスした。ちょいーっす。

 

 その発注のさい問屋をとおした。妻である。そもそもサブウェイというショップ自体、妻に忍従してやってきたのだ。「えっ? おれよくわかんないからやってよ」と妻に外注した。妻は洗練されたサブウェイのプロ。おれは注文もできない小市民。三十一歳。

 

 すでに昼すぎだったので、店内はそんなに殷賑とはしていない。しかし注文を受けるガラスケースのまえには、アップルの新型アイフォンが発売されたときのような長蛇の列がなされていた。

 

 おれは慧眼をもっているので、すぐにその本質を見極めてしまったのだが、どうやらその注文方法にこの列の重大なポイントがかくされているんじゃないかな、とおもった。

 

 しばらくして、妻がガラスケース越しのスタッフに注文をするときがきた。そこでおれが見たものが、今後のおれのサブウェイ人生をおおきく左右させることになるなんて、このときはまだ知らなかった。

 

「パンの種類はどうしますか?」

「パンは焼きますか?」

「トッピングはどうしますか?」

「野菜で食べられないものはありますか?」

「ソースはもともとこちらになってますが、どうしますか?」

 

 すさまじい質問攻めだった。拱手傍観しているだけで発狂するかとおもった。

 

 おれからいわせれば「つべこべ言わずにうまいもんをドンと出せよ」というものであるが、どうやらこのシステムがサブウェイ秘伝の戦略らしい。妻は「たまねぎ抜きで」と注文していた。豪儀である。

 

 しかし、これを口述でスタッフとカスタマーがやりとりをする。ここにおおきな時間のロスがあるのではないか、とおれなんかはおもうわけですよ。おれはふと一蘭という麺屋をおもった。

 

 一蘭とは、おもにとんこつラーメンをあつかうチャーン、って誤字。チェーンラーメンショップである。

 

 その発注は独特をきわめ、食券を購入したのち、さらに紙媒体をりようしてこまやかな注文をつける、というものである。一蘭の赤いやつめっちゃ辛くないっすか。

 

 このほうが記録された紙面をもとに迅速に料理を提供できるのではないか、とおもう。ぜひサブウェイは検討してほしい。

 

 さらにここからが本音なのだが、おれはサブウェイのような注文システムがこわい。

 

 おれは三十をこえた大人だが、いまだにそういう人と人とのコミュニケーションがこわいときがある。次郎系といわれる麺屋も、じぶんに質問が来る瞬間がこわくてしょうがない。胸裏でなんども「野菜にんにくマシマシ」と暗唱する。にんげんこわい。にんにくは好き。

 

 一蘭の発注はいわゆる「人対システム」なのでもうがんがん好き放題に注文する。しかし、サブウェイは前述のとおり「人対人」で、ああこわいなぁとおもう。

 

 なにがこわいのか、というと「こいつ、わかってねぇな」と思われるのが恥ずかしくてこわい。

 

 ただ商品を注文するのみなら簡単なのだが、そこにさらなる注文をつけていくと「えっ!? エビアボカドなのに、このソース選べへんの? なんでや! はっはーん、さてはこやつ素人ぞな」みたいに思われるのがめっちゃこわい。なめられるのがこわい。おれのプライドがきずつくのがこわい。

 

 妻ものちに語った、「たまねぎ抜きで、と注文するのは恥ずかしい」と。そうですよね、自分のウィークポイントを晒してしまっているのですから。おれの弱点は肩のうしろの2本のツノのまんなかのトサカの下のウロコの右。

 

 さらに人との会話が増えると、ちょっとした注文やコミュニケーションに粗相がないか、とおれの心臓ははげしく脈を打つ。生きづらい人生だ。すこしでもおれが生きやすくなるためにも、サブウェイは紙方式の注文にしてほしい。味はくっそうまかった。野菜の滋味。ナイスなチャーンパン屋。

サブウェイ BOOK&HEALTHY SANDWICH PASSPORT ([バラエティ])

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