おれはSUPERCARというバンドの直接的な世代ではない。めんどくさいからカタカナで書くね。スーパーカー。けれど、やはり日本のロックという大まかなジャンルの音楽を聴いていると、かくじつに通過する偉大なバンドなのだなぁとおもう。
そんなスーパーカーも解散してから幾星霜がたった。万物は流転する。ロックンロール。なんつって頃日、ルビースパークスというバンドを知った。スーパーカーに薫化されたような、てゆうか90年代のシューゲイズポップの音が鳴っていた。
Luby Sparks "Thursday (Album Version)" (Official Music Video) - YouTube
こういうの聴いたことある! つって、やはり出てくるのはスーパーカーだろう。ディストーテッドしたギターのノイズで朦気するサウンド。透明感のあるボーカルにはリバーブが深くかかっていて、とってもやわらかにソフトフォーカスされている。その男女混声が、瑞々しいクリアなメロディラインをなぞっていて、うわっ、すてき。
やりたいことがまとまっているアルバムだな、とおもう。90年代のオルタナ、シューゲイザーを踏襲したインディーポップようなのが好きでやりたいんだろうな。さいきんでいえばYuckみたいな。かっこええやん。
上記の「Thursday」は三曲目だけど、二曲目の「Spark」なんかもめっちゃかっこいい。つづく「Still Awake」にはシンプルなフレーズだからこそ煌びやかに浮き上がる甘いクリーントーンの共鳴感や、わくわくするようなシューゲイズポップネスがある。
好きな音楽をやっているという自負と、時代をつくったバンドにたいする敬意とが入り混じって爆発してる。こうして音楽やバンドは流転していくのだろうな、とおもう。
Luby Sparks "Tangerine" (Official Audio) - YouTube
ウィスパーで無機質なのに、ひとの血が通ったら有機的なやさしいメロディでそこにまたスーパーカー風味をかんじる。おれ、スーパーカー好きだったんですよ。
ジャケを見たとき外国のバンドかとおもった。瀟洒。でも日本語のモーラ言語的発音から紡ぎだされる旋律は、あえて純度の高い潔白感を醸しているとおもう。
Luby Sparks "The Short Lived Girl" (Official Audio) - YouTube
まるくころっとしたギターの音が愛らしくて、ハードディストーションのみではない上リンク「The Short Lived Girl」や、カントリーチックな「Life of Misery」もアルバムの緩急を担っていて良い。
でもどうやらまだ大学生みたいで、山っ気がある、というか気鋭があるというか、ドライブ感のある曲がおおくて、それもまたすてきだとおもう。「Hateful Summer」はノイジーでありながらポップだし、太くて甘いフロントピックアップのような音がよくて好き。「Farewell,Lily」もシューゲイジングした横に広い音の帯と、ビートが凝縮された整列感がすき。 スペイシーでオルタナチックで、九十年代の、轟音で鳴り響く星々が光を落とすような、巨大な静寂のようなサウンド、その垂れ幕がさがってくるような「Teenage Squash」も、あのころの音は現代の音楽にしっかりと翳をおとしているんだな、とおもう。
ひとつの音楽をつくろうとする一体感みたいなバンドですね。そういう「こういう音楽をやりたい」というまとったバンド感。それは時として人間関係よりも堅固なものだとおもう。バンドとはかくあるべきなんですかね。
ひじょうに作りがシンプルなのだが、そのぶんその強くてやさしいメロディが活きるというか、おれはなんだかスーパーカーも聴きたくなってきたよ。