まだロックが好き

まだロックが好き

おめおめと生きている日記

揺るがない幸せがほしいのです

 人の行く/裏に道あり/花の山。なんて言葉があるけれど、蓋しザッツライト。なかなかいいこと言うじゃん。なんておもう。

 

 過日。「お弁当持参のうえ、花見にしゃれ込もう」なんてことに相成った。近隣に住まう子ども繋がりのひとびとと共に、近所の神社において、である。

 

 花の雲/鐘は上野か/浅草か。なんていう句もあるがごとく、桜の名勝なんてのはやっぱ上野だよねー。っておもうけれども、おれたちは先週上野の博物館に歩をはこび、壮麗な桜の列に輻輳する蠢く人口の稠密に逡巡してしまった。あれはもう花見というより人見ですよ。

 

 拙宅から数分あるくと、そこに神社が造営されている。

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 桜はみごとに咲いていた。ソフトな大気につつまれ春風駘蕩していた。桜が風に揺れ、遠山の金さんのオープニングか! っつうくらい薄桃色の花弁がふりそそいでいた。

 

 青いビニールシートを敷いたグループがふたつほど先乗りしていた。いずれも参加人数のおおい一団であった。いっぽうのグループは焼き物器を使用していたのだろう。醤油のこげたにおいが、やわらかい風のなかにひとすじ流れていた。

 

 ちいさなすべり台。ブランコもあった。子どもたちは遊び狂った。息子は三歳なのだけれど、近所の子はほとんど年上で、そうなると「みんなができること」が出来ずに悔しいおもいをちょっとする。でも三歳だとけっこうできるようになってきた。重畳だ。

 

 冒頭「お弁当を持参のうえ」という語句を先述をしたが、なんということでしょう。その言を真に受けたのは我が家だけだった。つまりみんなお弁当もってこなかったのね。

 

 マジかよー。昨日の晩おれがこしらえたのにー。そういうとこほんと真面目。おれ。ってゆうかおれと妻。ほんと律儀。ってゆうかたぶんけっこうピュアなんだとおもう。みんな「場当たり的でいいよねー」って生きているのかもしれないけれど、「ひととの約束」というものを戒律のように捉えているのか、すべて真面目に用意周到にしていくとみんなぜーんぜん、ゆるいのね。いや、いいんだけどさ。

 

 そしたらみなさん「じゃあやっぱここでお昼ごはん食べようか」ってことになり、近くの牛丼屋で牛丼を買ってきていた。おれたちは拵えてきたお弁当。からあげと玉子焼きとブロッコリー。あとおにぎり。具は梅干とツナマヨ。くっそうまかった。

 

 屹立する木々のすきまには涼しげな緑の風がたちこめていて、黒々とした土のしめったにおいも昇ってくる。根元の石をもちあげるとダンゴムシやムカデがうようよしていた。いい感じの棒をひろったり、どんぐりをあつめたり、ふかふかの土のうえで踊ったりした。

 

 お花見スポット。なんてまがまがしい言葉なんだ! とおもうけれど、そういうところで飲んで食らってどんちゃん騒ぎ、というのもたのしいだろう。だが、おれはひと気のまばらな、スポット認定されないような場所で、のどかに、穏やかに、だれの二酸化炭素もまじっていないような清廉な春風をみつめるほうが好きだなぁ、それがおれの幸せ。なんておもった。

 

 まぁ、いずれを行くも/散らぬ間に行け、ってことですね。明日ありと思う心の仇桜。

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今週のお題「お花見」