まだロックが好き

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おめおめと生きている日記

どうしたジャックホワイト!?

 ジャックホワイトが新譜をだしたので聴いた。ちなみに「新譜」という言葉をつかうと妻から「音楽通っぽい」といわれます。音楽通っぽくしていたいのでどんどん使用していきたいです。

 

ジャック・ホワイトの2018年の傑作は、ロックの未来を救うか? - レビュー : CINRA.NET

 

 え!? みんなこれどうおもったん!? というのが実直真率な個人的の意見であって、もしかしてジャックホワイト、レコーディングにギター忘れてきたんちゃうん!? みたいなかんじだった。ってゆうかデジタル。

 

 おれのなかで巨樹のごとく根付いているジャックホワイトの幻影というのは、粗雑でありながら精密で、荒荒しいのだけれど都市的なインテリジェントの翳がちらつく、頭脳派なのに地を駆け回るように肉体的で、現代的な空気のなか懐古的ガレージパンクのギターリフを弾く、キースリチャーズふうにいえば、ロックの「ロール」のぶぶんが遺伝子の核に穿たれている、妖艶なのに堅実なギターを弾く変なひと、というものなんです。あと主食はごはんじゃなくてお菓子を食べてそう。個人の感想です。

 

 一曲目「Connected By Love」ってなんですかこれは。ほとんどギター弾いてないじゃん! 電子機器の音楽が流れていて、そりゃもちろんクリッピングさせたギターの音なんてのは電子機器の音なのだけれども、そうではなく、いわゆるコンピューターの中でつくった音楽というのか、そういう音だった。

 

 ジャックホワイトはソロでファーストをだしたときに、すごくいなたく、うすい音を鳴らしていたとおもう。音質主義を嘲弄するかのような。ジャックはホワイトストライプスのときから、そういう虚飾に塗れたアンチ現代! みたいな節があったようにおもう。ドラムと二人編成で、さらにケイのギター弾いていたのなんてまさにそれじゃないかな。

 

 しかし、あまりにセオリーすぎるかんじがする。サードで音楽性の変化球をだす、というのは。おれはなんとなくレッドツェッペリンⅢやOKコンピューターをおもった。音楽的大躍進。マムフォード&サンズは失敗したとおもう。

 

 ロックというジャンルは混淆の音楽だとおもう。いろんな音楽を綯い交ぜにして、カルチャーとして躍動するぶぶんもある。ジャックも「ストライプスでもアナログ感だしたし、そろそろデジタルいっちゃう?」みたいな感じだったのだろう。これでラザレットとおなじような感じだったら見限られていたかも。おれはそれを世代的に「凛として時雨現象」と呼びます。

 

 まちがいなく現代にロックンロールを蘇らせたひとのひとりだとおもうのだけど、そんなジャックが現代的なアプローチを取り入れた。ってゆうのはやっぱ事件なんじゃないかな、なんておもった。

 

 ギターを弾いていないわけではない。3曲目「Corporation」ではおおきなテーマのようなリフをぶっといファズで弾いているし、5曲目「Hypermisophoniac」ではいろんな歪み音色のギターが鳴っていたし。ただやっぱデジタル感がつよくて最初聴いたとき「どうしたジャックホワイト!?」とおもった。

 

 でもなんだかんだ言って、おれが期待するジャックホワイト像は7曲目の「Over and Over and Over」のようなリフレインが強い曲だったりする。でもそれじゃつまらなかったのだろう。ロックが、というより現代の音楽を牽引してきた音楽が、より先にすすむためには、よりオルタナティブな混淆が必要なのだとおもう。世間的な評価はすっごく高くなりそうだけど、個人的には一枚目と二枚目のほうが好きだなー、なんて印象でした。

 

Boarding House Reach

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