まだロックが好き

まだロックが好き

おめおめと生きている日記

今年で三十二歳ですよってゆう俺的春に聴きたいアルバム9枚

 今聴きたい! 私の春うた! ははは。そういうミーハーな惹句だいきらい。虫唾がはしるわ。というかんじですが、春に聴くアルバムってあるなぁ、とおもったのです。あの九枚にするやつにしました。画像のまとまりが好いので。とりあえず我が邦の音楽だけにしました。収拾がつかなくなるので。

 

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サニーデイ・サービス「東京」

 ありきたりですね。サニーデイサービスというポップバンドとしては異色のフォーキーなアルバムですが、とてつもない名盤だとおもうんです。って丁寧語における撥音便。おれは好いアルバムには「におい」が喚起されるとおもっている。思い出はいつもにおいで呼び起こされる、大好きだったあの娘のエイトフォー、みたいな。サニーデイのこの「東京」には春の、土が湿り気を帯びたにおいや、芽吹いた草花が風ではこばれるにおい、コーヒーの点つにおい、などがするなぁ、なんてことをかんじてしまうのです。そかべ氏のあざとくねちっこい歌い方は好きではないけれど、褪色しない、ってゆうかすでに褪色している風情があるからこそ時代を超える名盤なのだろうなぁ。

東京 20th anniversary BOX

東京 20th anniversary BOX

 

 

くるり「さよならストレンジャー」

 四季めぐるじゃん? そのたび季節感のあるアルバム聴くじゃん? いっつもどの季節にもくるりというバンドがいる。怨霊かよ。賛否はあろうが、おれのなかでくるりの「さよスト」は春なんだよなぁ。上京の憂いを放つ「東京」はもちろんだけど、一曲目の「ランチ」から日常的手ひらサイズの幸甚に憂鬱な翳がひそんでいるようで、そのあとにつづく「虹」からは途轍もない風力をかんじる。この生活の陰翳的センチメンタルな春感と、時折暴力的な春の嵐のような風力が、とっても好きなんです。

さよならストレンジャー

さよならストレンジャー

 

 

エレファントカシマシ「ココロに花を」

 なーんだか、じっとしてらーれない、つって。やっぱ「四月の風」がはいっているからか。いや、ベイビーベイビーじーてんしゃーでー、ってのも温かさがある。憤怒や焦燥、憂悶をうたってばかりいたミヤジがうたった身の底から起こった希望。その体裁。このアルバムにも風が駘蕩しているようなやわらかさがある。それでいてどこか沈鬱とした翳もそなわっていて、とても好きなアルバム。おれはミヤジに自嘲的なものをよくかんじるのだけれど、この「ココロに花を」を、ってゆうか「悲しみの果て」にはその烈しい自嘲をかんじてしまう。それは「支えてくれたひとに対する感謝もあるけれど、それが以前とちがった音楽となってしまって、でも今はこれしかできないし」みたいなものが、まっすぐな音楽の裏側にひそんでいるようで、そういう冷たい翳りがまたほんともののあわれというかなんというか。

ココロに花を

ココロに花を

  • アーティスト: エレファントカシマシ,宮本浩次,ガンダーラコンビネーション,佐久間正英,土方隆行
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1996/08/21
  • メディア: CD
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クラムボン「ベスト」

 クラムボンの原田郁子というボーカルには、なんだか舞い上がる花弁のような軽やかな颯爽感がある。そこですよ。そこ。ほんと春かんじる。彼女が歌えば、矢庭に彩られた世界がたちあがる。しかし、だからといって暖気に満ちているだけでなく、その実演奏はタフでタイトだなとかんじる。流星群のようなきらめきのドラムスに、ぎゅっと絞った芯のあるベース、そこにテンショントーンの綯い交ぜになった堅めの鍵盤フレーズなんつうのは、このやわらかなボーカルと合わさって果てしない音楽性を発明しているのだとおもう。奇跡みたいなバンドですね。そのボーカルと演奏の実利が聴きたくなるのでベストを選んでしまいました。ベストにはいいベストと悪いベストがあるけど、クラムボンのはいいベストだとおもう。

best

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  • アーティスト: クラムボン,原田郁子,ミト,伊藤大助,亀田誠治
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2003/07/24
  • メディア: CD
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はっぴぃえんど「風街ろまん」

 夏なんです、って曲もあるけれど、春らんまんって曲もあるし、なによりも「風をあつめて」でしょう。日本語ロック論争。そんな渦中で松本隆が発明したのは「なんです」という「です・ます調」と、音便化の妙だとおもう。そりゃもちろん「汚点だらけの靄ごしに起きぬけの路面電車」とか、おれが好きな「緋色の帆をかかげた都市」とか「摩天楼の絹ずれ」とか詩情にあふれまくった表現もさることながら、それが活きるのは「~んです」の表現方法だとおもうんです。シラブルで音節を歌わないモーラ言語の日本詞が、日本語の情緒をふくめてその光彩陸離を放出できる、さいだいの土壌を作り上げたといっても過言ではないのでしょうか。ってなんか文意が小癪だしあんま春かんけぇねぇっつう。

風街ろまん

風街ろまん

 

 

ホフディラン「多摩川レコード」

 声が嫌いだともう嫌いになってしまうのがホフディランだとおもう。個人的にワタナベイビーの声は好きです。暖かみがあって、冬っぽくもあるんだけれど、なんとなく春に「ゆでたまご」と「スマイル」を口ずさむことがおおい。けっして大きなノリではなく、そよ風に揺蕩するようなやさしさとユーモアに充ちていて、そういうアルバムというか、そういう音楽が出来るひとって稀有だとおもう。

多摩川レコード

多摩川レコード

 

 

Mr.Children「IT'S A WONDERFUL WORLD」

 おれはミスチル好きだよ。一曲目からの胎動感が春っぽくかんじるのか、おれはイッツアは春に聴きたくなるなー。五月に近い春よりも二月三月にちかい春。「蘇生」はやっぱ浮き浮きすんじゃん。ミスチルのポップネスがくどくなくなってきたのがこの辺りのような気がしている。さらっとしている。ちなみにおれはこのアルバムの「ファスナー」って曲がめちゃくちゃ好きで好きでたまらない。なにあのふんいき。

It’s a wonderful world

It’s a wonderful world

 

 

Syrup16g「Syrup16g」

 シロップは通年で聴くことがおおいけれど、これを入れたのは、ほかのどんなアルバムよりも 「散る美しさ」があるからですね。もちろん「さくら」なんて曲もあるけれど、この「さくら」には春のそれよりも、虚無の淡白な白さがあるとおもう。白というと清廉潔白なイメージだけど、そうではなく、ほんと「無」の白さというか。その築いてきたものが無に帰する、まるで散ることがわかっている桜のようなジャパニーズ「儚さ」がめちゃくちゃあるとおもうんですよ。シロップファンからすればキャッチーすぎるかもしれないけれど、おれは好き。五十嵐は精神がやばいときのほうがとんでもない曲作るとおもう。けど病みはじめると「だいじょぶか?」って本気で心配になるので困ったものです。

Syrup16g

Syrup16g

 

 

100s「世界のフラワーロード」

 完璧なアルバムだとおもう。おれが個人的に中村一義のことを愛しているからというのもあるけれど、彼の音楽性が生のバンドサウンドと邂逅した最高傑作なんじゃねぇかとおもうようなアルバム。音楽活動を長く続けているのに朝露のように新鮮で、手の届くような日常の風景に、白んだ陽光がソフトフォーカスされているような幻想的なふんいきもあって、どこか寂しげな緊張感もある。でもなんだか「路傍の花がきれいだった」みたいなちいさな幸せに充ちているようなかんじもあるんだなー。たぶんこの白んだ陽光感がおれのなかで春っぽいのだとおもう。錚錚たるバンドメンバーも、「中村一義のアルバム」を作ることに徹しているようで主張は少ないけれど、世界感の構築という点でものすごいアルバムだとおもっている。

世界のフラワーロード

世界のフラワーロード

 

 

総括

 スピッツのスーベニアは春の歌からはじまるから、やっぱ春アルバムだな! とおもったけれど、おいおい、これ通年で聴いてるわ。つってそういうアルバムは極力避けました。おれがいつも聴いているフジファブリックとか、バインとか。結果としてやわらかなアルバムがあつまったような気がしますね。春のソフトな大気に迎合するような。ソフトな大気って表現、村上春樹っぽいですね。ってゆうか有名なアルバムばかりあつめてしまった。ミーハーですわ。

 

今週のお題「わたしの春うた」