まだロックが好き

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おめおめと生きている日記

夕涼み会が灼熱だった

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 そーれそれそれおまつりだぁ。っていうほどでもないのだが、息子が行ったり来たりしているこども園にて、夕涼み会なるイベントが開催されたので参った。そーれそれそれおまつりだぁ! つって。歌って。いや歌わないけど。

 

 歩くと十分ちょっと。「おまえんちより遠方から来てるヤッコさんもいんだから自動車でくるな」という警告をうけたので仕方なく歩いていった。あるくのはいいぜぇーオイェー、つって。歌って。これはよく歌う。

 

 夕景に薄闇の涼風が充ち……なんてこともなく、夕方四時四〇分はまだぜんぜん明るい。とにかく明るい夕暮れ。ってか夏。あつい。午前中、拙宅の豪華な二十五メートル級のプールにて水着だらけの水泳大会をおこなったのだけれど、てかそもそも水泳って水着でやるもんだしね。だから水着だらけなんて形容しなくてもよくね? なーんて文句文句。そもそも嘘嘘。ちいさなビニールプールで遊んだ。よって完璧な午睡をばっちりきめたので三歳児は元気だった。

 

 中央に櫓。蜘蛛の巣のように紐がはりめぐらされ、提灯に灯が入っていた。たくさんの親子で賑わっていた。空は明るいとはいえども、茫洋たる蒼穹。そんなぼんやりとした、巨大樹メタセコイアの陰のしたで、その時がくるのをまっていた。

 

 しばらくすると「園児は集合」というアナウンスが放送された。おおわらわで駆けつける園児達の後ろ姿を見い見い「そろそろですな」と時計と夕空をふり仰いだ。

 

 しかし。待てど暮らせどなかなか夕涼み会が開催されない。どういうこと? 園児もあつまってんじゃん。直射日光ふりそそいでいないけれど、けっこう灼熱だぜ? 汗ばむ身体髪膚に塵埃がからみつく。こりゃやべーぜ。とおもっていると、ぱらぱらと遅刻組がやってきたのであった。

 

 そうか。これをまっていたのか。なるほどね。そっかそっか。みんな集まんないとできんよね。って、おおーーーーい!! そらあかんぜよ。なぜ遅刻したやつらをまたなきゃいけんのよ。あついじゃん。しかも園長の話ながいじゃん。まっていた子どもたちはすでに憔悴しきっている。

 

 こども園とは幼稚園と保育園のハイブリッドな園である。かくなるイベントは幼稚園の先生がおこなうことがおおい。おれはおもった。幼稚園の先生は、保育園の先生にくらべて、個よりもクラスという単位を重んじる気風が高い、と。

 

 我が一族はひっこしをおこない、保育園から転園してこども園にはいった。だから比較検討できるのだが、保育園の先生のほうが子どもの個々の変化に異変にびんかんである。そもそも保育園は託児施設、幼稚園は教育施設なのでその本質がちがうのはしょうちずみである。

 

 だがやはり、かつて体験した保育園のイベントにくらべると、やたら帝国主義のようなクラス全体という単位をおもんじる気風が高い。なんというか無理やりな統率をはかろうとしている印象をうける。

 

 ふだん幼稚園の先生と折衝すると、保育園の先生よりもプライドが高いイメージがある。おそらく教育者としての矜持なのだとおれは推量している。まぁ有体に言えば、そういうの嫌いだね。まぁこれは余談である。

 

 じじつ、あの灼熱の園庭で、しっかりと子どもの個をおもんじるのであれば、遅刻者などは切り捨て、夕涼み会を進行すべきであった。しかしそれをしなかった。なぜならば、かれらは個よりもクラス単位を重んじ、クラス全員そろわないとそれをやる意味がないとおもったのである。というのはおれの空想だが。

 

 むろん、保育園よりも子どもの数がおおいので仕方がないのかもしれない。この夕涼み会ではギリギリ死者はでなかったが、このような全体をおもんじる方針でいくとなると、個人の体調不良、つまり熱中症などが見過ごされてしまう可能性というのがでるのではないか、というピンポイントな不安が発生する。

 

 くたくたになった息子はもどりしな、一気に麦茶を飲み下した。生きた心地がしただろう。むろん元気な子どももいたが、そういうのは個人差がある。

 

 きっとすべての幼稚園の先生がそうというわけではないとおもう。たいへんな仕事である。だがきっと先日熱中症で亡くなった小学生というのも、かくなるクラス全体という全体主義のばけものに飲み込まれ、なくすはずのない命をなくしてしまったのではないか、などと愚考する。

 

 たしかに、大人数のなかで個人個人をみるのは無理である。おれも近所の子どもを息子とどうじに看ていることがあるが、ふたりが限界である。だが、貴殿らのおもんじるそのクラスという生命体は、それよりも無限大に尊い命の集合体であるということを、あらためて認識しておいてほしいな、とおもった夏の日の夕暮れ。お、アスファルトから雑草が……って陛下、雑草などという植物はないのですよ。