例えば髪を切った時。
一寸前までは自分だった存在が一瞬にしてゴミになる。
例えば爪を切った時。
自分の延長にあった存在がその瞬間に廃棄物になる。
例えば魚の目を取った時。
例えば歯が欠けた時。
例えば陰毛がぷちぷち抜けた時。
そんな「自分だったモノ」が急に「イラナイモノ」になる時。
悲しい、哀しい、とかじゃない。
なんか不思議な感じになる。
その究極が…
ダイエットだと思う。
その究極はうんこだろ!とかいう異論は受け付けません。
何故ならアレは結局自分にならなかったモノが出てきただけだからです。
あとお上品な僕の口からうんこなんて死んでも出てきません。
勿論うんこはお尻から出るモノなので。
僕は今身長170センチメートル、体重60キログラムの基本的な中肉中背の体躯をしていますが、実は2〜3年前は体重が75キログラム程ありました。
約15キログラムのダイエットに成功しました。
おそらくそのダイエット法を記載すればたくさんの方に見ていただける有意義なブログになるのでしょうが、残念ながら僕の痩せた方法は「食あたり」です。
※食あたりダイエットは短期間でやたらツライですが1ヶ月で10キロくらい痩せられます。おすすめです。
15キログラムといったら中々の質量です。
例えば4人がそれぞれ15キログラムずつダイエットして痩せてしまったとします。
そうすると4人×15キログラムで60キログラム。
平均的成人男性一人分の人間が消滅してしまうことになります。
なんということでしょう!
自らを美しく見せたいと願うその卑しき心、エゴイズム、健康のためかなんかしらないけれどもそのセルフィッシュは知らず知らずの内に人を一人分、この世界から消し去ってしまうのです!
此処で冷静な皆さんは恐らく「重さの話でしょ…?」とかお思いでしょう。
でも待って!
そのモト自分をただの質量としか考えられないのですか?
愛する人の魂が抜けた身体はアナタにとってはただのタンパク質ですか?
同様に元々僕たちの身体の一部だった脂肪にココロが無いとは言い切れない!
そんな寂しいこと言わないでよ!
モト自分。(こう記載すると冬樹の影がチラつきますがちょっとスルーしましょう。)
先述の髪の毛や爪はカタチになります。結局ゴミで燃やされますけど。
だからそんなモト自分を愛する暇はあるのでしょう。
しかし脂肪はカタチに残らない。
僕の消えた一部は何処に行ってしまったのでしょう。
日本は火葬文化です。僕たちの身体はいずれ燃えて灰になります。
しかし、すべてが灰になるとは思えません。
それは命の煙になってこの空に溶けていきます。おそらく脂肪も同じ。
そして風になり、雲になり、雨になり、虹になり、新しい命の花が芽吹くのでしょう。
命の素敵なお話です。