受験シーズンのようだ。
勉学、おもに記憶の定着方法として「リズムでおぼえる」とか「語呂でおぼえる」みたいなんがある。
たしかに歌として存在する音楽の歌詞というのはただの文章よりも覚えやすい。
しかしこれはリズムやメロディにのっているから、という理由だけでなく、己が唇から宇宙に発せられフレーズをサイクル的に己が聴覚で捉えることが主なテーマであると私は思っているので、ただ語呂良くフレーズを作ったからといって覚えられるわけではない、あほか。というポジションをとっている。
しかし、やはりリズムとメロディは記憶を束縛する。
以下は、そんなことを0,1,2歳児用絵本から学んだ私のマイソロジーである。
息子の1歳の誕生日にいただいた「ぽんちんぱん」という幼児用書籍、いうなれば絵本が我が家にある。
ぱんぱん ○○ ぽんちんぱん
ちぎちぎぱっぱで ぽんちんぱん
のフレーズで進行する。
○○のなかにはさまざまなパンの名称が挿入される。あんぱん、ロールパンなどもろもろ。
たいへんリズミカルであり、発語感も良いので、朗読している側としてもたのしい。
また、ちぎちぱっぱのページではパンの表層が3点ほどくり貫かれることにより、それがあたかも顔面のようなイメージを呼び起こす。幼児というのは万物の擬人化のもとに生きているので、それらを見て嬉々としているのがわかる。
私も、私の息子も以上の理由によりこの絵本が好きでよく朗読している。もちろんともに絶唱することもある。ぽんちん…ぱーーーーん!!!!
やはりこの「ぽん、ちん、ぱん」の3音がきもちいい。とくにこの「ちん」がすごい。
これがもしP音の羅列、つまり「ぽんぴんぱん」とかだったらやっぱりクドい。レアチーズケーキと一緒に飲むヨーグルト飲んでるような感覚。くどい。くどいしつまらない。のぼっていくだけのジェットコースターのようだ。緩急が必要。
ということで、やはりこのPのやわらかい破裂音にはさまれたTのつんざくような鋭利な語感「ちん」がすごい。ポップスで言えばBメロでマイナー調になるような緩急の施し。「ぽん、ちん、ぱん」。単発で言ってもたのしい。うん、エンタメですね。
上記○○に「食パン」がはいるページがある。
ぱんぱん 食パン ぽんちんぱん
である。
ここで最近問題がおきている。
息子が「ぱんぱん 食パン」のあと「カレーパン」と言う。
いやいや。なにをおっしゃる。「ぽんちんぱん」が気持ち良いのに。それをいわないなんて。そしてカレーパンとは興ざめ。物質主義者かよ。マジありえない。
そんなことを思っていた。
それいけ!アンパンマンという擬人化したパンが活躍するアニメーション作品がある。
それを見ていたこの週末。
そのエンディングテーマ曲として使用されているのがドリーミングが歌う「勇気りんりん」という曲だ。
この「勇気りんりん」のAメロはこうだ。
勇気の鈴がりんりんりん
不思議な冒険 るんるんるん
アンパン しょくぱん カレーパン
ジャム バタチーズ だだんだん
太字に注目していただきたい。
「アンパン しょくぱん」というリズムメロディフレーズをどこかで聴いた。
そりゃもちろんこの曲はいたるところで拝聴しておるので、この既視感ならぬ既聴感はまぎれもなく本物なのだけれども、そうではないどこかで、遠い前世の向こう側で、記憶の果てで誰かと約束をしたあの場所で、聴いたような感覚が訪れた。
長々書くのもあれなんで言っちゃうけど、
どうやら息子は上記ぽんちんぱんの「ぱんぱん 食パン」のフレーズにこの「アンパン しょくぱん」を連想させているようなのだ。
だから後続として「カレーパン」のフレーズが発せられる。
つまり、リズム、メロディに記憶をひっぱられているのだ!!
ろくすっぽまともに会話のできない2歳児にウラをとったわけでなないので不確かな事実であり、推察の域をでないのだけれどたぶんそう。ってかまちがいない。
やはり音楽の力というのはとても強く、はかりしれない。
記憶を定着させるには、リズムやメロディにのせると覚えやすい。
そして、それはふいに思い出せられる。
「ぱんぱん しょくぱん」という音の響きに「勇気りんりん」のワンフレーズを思い起こす2歳児が証明してくれたのです。