ぜんぶゲットワイルドって、あはは。突飛。しかも不備って。てかそんなの間違えちゃうよ。
おんなじ曲だけでアルバムなんて珍奇だなーなんておもっていたんですが、そんなトリビュートアルバムがあったことをふいに思い出し、日記の記載にいたりました。
- アーティスト: オムニバス,キャプテンストライダム,かりゆし58,藤田大吾,GO!GO!7188,YO-KING,フラワーカンパニーズ,斉藤和義,金子マリ,怒髪天,ミドリ
- 出版社/メーカー: SMA
- 発売日: 2009/09/16
- メディア: CD
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フラワーカンパニーズという日本のロックバンドの一曲「深夜高速」を13組の音楽関係者がアレンジカラオケしたものです。 と説明的文章を記載しておきます。
以下の曲目をみたときはちょっと笑ったね。
引用元:アマゾンの説明文
13組のカバー曲と、2曲は本家がやっているので15曲の収録ですね。それにしても、こうしてみるとやはり珍妙滑稽です。
しかし「深夜高速」はいい曲だな、といつも思う。音楽理論的な名曲ではない。しかし音楽の本来持つべき、心をゆさぶる、という意味において名曲だな、とおもっている。かっこよいこと書きましたが、っていうのが照れ隠しの姑息な手段ですね。
各カバーについて詳細に書いたらだいぶ悪口になってしまった。なので好きなカバーだけ抜粋して記載しようとおもいました。
7曲目の泉谷しげる。
歌はもちろん泉谷しげる、そしてバックの演奏がフラカン本人。なので良い。フラカン竹安のギターがとても好き。バッキングがとても良い。理屈っぽくなくて。めちゃくちゃ技巧派ではないけど、ギターの心をもっている人だな、と思う。リフとかさ、ソロとかもロックンロールしてる。この「ロール」が出来るギタリストってあんまりいない。
9曲目おとぎ話。
そもそもバンドの曲なのでバンドが合うのだろうけど、原曲の直情的なニュアンスではなく、ダウナーにもっていったところにセンスがすごいなぁと思いました。おとぎ話ってあんま知らんのですが。このカバーを聴くかぎりいいバンドでしょう。なんか今度聴いてみようかな。
13曲目GO!GO!7188。
イントロの雲行きがあやしめだったんですけど、良かった。この曲、間奏がメジャーになったりするんですけど、そのメジャー感は参加バンド中でもっともうまいし、フレーズやアレンジに深夜高速という曲への愛が感じられる。ってえらそうに申し上げてますね。でもゴーゴーは良かった。素晴らしかった。
14曲目ヨーキングこと倉持陽一。
風呂場で歌ってます。リバーブが。残響が。倉持さんにかんしては、彼の声だけで私、昇天してしまうのでなんとも言えないです。世界でいちばんかっこいい声してるもんなぁ。
って感じでよかったんですけど、やはり本家本元には及ばなかった、というのが印象です。
深夜高速という曲は表題の「生きていてよかった」なんてあからさまなフレーズを放つ歌詞なんですけど、最後にそれを否定するかのように「そんな夜を探してる」って続くんですね。なんだまだ「生きていてよかった」って思ってないのかよって。これがまた切実で、切迫していて、喉の奥がじんわり熱くなるんですよ。
まぁ最後のサビは「生きていてよかった」で終わって、しかもいままで短調だったのが長調のコードで終わって光明一筋刺さる感じで終わるのがまた良いんですけど。
いつもこの曲を聴いて思うことは、現状への葛藤みたいなもので、それはなぜかといえば、やはり人間歳をとるからなんだな、なんて思います。
もしもこのままずっと20歳くらいならば、この曲にこんなにどっぷり肩まで浸かって身に沁みるってことはなかったかな、と思います。でもだからといって20歳くらいの人に受けないわけではない、と思う理由はみんな加齢による無難な展望をもってしまっているからであって、どこかこのままじゃいけない、とか、このまま生きていけるのかな、なんて思うところに響くからなんじゃないでしょうか。
私もずっと好きなことして生きていけたらいいな、なんて思ってました。たぶん現代のニッポンならば生活の形式を問わなければ、それができる気がします。一生フリーターでバンド生活!なんて。しかしそうやって生きていけないのは覚悟や信念うんぬんよりも、しがらみやら血縁やら老衰ってのがあるわけで、それらが蹴つまずく隆起として人生にはあるわけで。北の国からみたくなっているわけで。
フラワーカンパニーズもめちゃくちゃ売れているバンドではなく、いまだってスタッフを付けないでバンドメンバーのみでバンドを運営しているドサ回りバンドである。数年前になんかしらんがフラカンブームみたいなのが小規模で起こったが。89年に結成してるみたいでずいぶんと長く活動している。さまざまな葛藤があったんだと思う。
この深夜高速だって発表したのは彼らが35歳とかそんな時期だった。正直この曲ってフラカンぽさってあまりないように感じる。時代が必要とする歌を、その葛藤をいちばんもってやってきたフラカンが生み出した、って結果な気がする。
この曲でタレントの伊集院光氏はフラカンのファンになったそうですが、こういう芸事、上記のバンドマンたちもそうですが、世俗的因果な商売をしている人たちならば余計身に沁みて考えてしまう曲なのかな、なんて思います。
だからみんなこの曲に胸を撃たれて、この曲のように「生きていてよかった そんな夜を探してる」って歌いたかったんだろうな、だからこんな阿呆みたいな企画のトリビュートアルバムができたんだろうな、なんて思いました。