休日だからと言って、うかうか休んでばかりもいられない。妻と2歳の息子に行楽をさせてやりたい。そう思い、私の生命は躍動した。
所沢にある航空記念公園に足を運んだ。時は平成29年5月4日木曜。世相はゴールデンウィークに熱気を帯びていた。
緑の多い公園であった。新緑が薫った。大気に砂塵が混じり、すこしざらついていた。
邦人が横溢していた。老若男女であった。犬もあった。犬は南蛮渡来のものが多かった。みな思い思いの時を過ごしていた。蓋し、誰しもの腹の底はたいへん穏やかであった。
木々の様相がいい感じであった。土地が広大であるぶん木々の間隔が大いにとれるのであろう。太陽の落涙のごとき降光に、緑が軽快に輝いていた。すこしの夏を感じた。
我々は北駐車場というパーキングに車を駐した。二時間まで無料であり、それから1時間ごとに100円硬貨をとられる。こんな広大な土地を二時間で満喫できるわけがない。初頭より金銭を奪うという一計があると思われる。
その北駐車場から歩いて少し。ようやく大きな飛行機があった。息子は声をあげ、白い光の中を駆けた。
しばらく歩くと建築物があった。航空発祥記念館なる名称であった。内覧に大人510円が必要であった。館内の気配に、その金額は平仄が合わぬ、と感じた。が後刻、私のその覚えは誤謬であったと気づく。
踏み込んだ航空記念館内部には、大小さまざまな航空機が展示されていた。2歳の息子は発狂した。自制が効かぬほどであった。そんな戦況で私は嬉々としてカメラを構えた。
私は文字を読むのが苦手なので展示パネルを読まない。よって名称はわからぬ。おそらく通名ヘリコプターと称せられるものがそこにあった。そのヘリの腹の中に侵入できる糸口があったので入った。
男子というのはどうしてこういう乗り物にときめくのか。わからない。しかしときめく。感じたこと。それだけが世界のすべてである。内装の芳しいライブ感に、私はすこし踊った。
コクピットである。2歳の息子は血をたぎらせた。30歳の父も脳内麻薬がたくさん出た。三十路の心の奥に鎮座していたボーイズマインドは沈黙を破った。「ビーアンビシャス」そんな声が聞こえた。
世の中にはフォトジェニックポイントと呼ばれる廉価ギターメーカー的な場所があるようだ。まさにそれは此処である、と噴出した感情のまま写真をとるのに躍起になった。
アイフォーンでも撮ってみた。けどやはり一眼レフのほうが明るい。あと一眼レフを持っているとこんな私でも立派なお父さんの気分になる。良いパパ感がでる気がしている。
建築物は複階層であった。上層から館内部を俯瞰できた。それもまたグッドポイントであった。
館内はめちゃくちゃ広いってこともない。しかしめちゃくちゃエンタメだった。
ボタンがあったら押したくなるのが人情である。
時刻は午を迎えていた。航空発祥記念館を出払った我々は食物を探し練り歩いた。
そこで見つけたのはエコトコファーマーズカフェという飲食店であった。たくさんの人が列をなし、ランチの購入に血眼していた。我々は茣蓙を持参していたのでテイクアウトを選択した。
「とコロッケ」なんて具合に括弧をつけないとキーボードの誤打だと思われるような名称のコロッケを購入した。所沢と洒落を効かせているのか。
それとは別に、その「とコロッケ」がキャベツとともにパンで挟まれたバーガーという舶来の伝統的料理を模したものを食べた。これまた美味であった。
この「とコロッケ」であるが、もちろん外装はサクッとジューシーである。が、内部の芋はみずみずしい食感であった。とろみのある芋であった。うまかった。
あとメンチカツバーガーとかポテトフライとかチーズドッグとかアイスコーヒーとか頼んだ。美味であった。
上画像はいちごのソーダである。いちごジャムを炭酸水で希釈したものであった。凍結したいちごも浮遊していた。とてもあまかった。
午。とても良いランチであった。私は茣蓙のうえてすこし横になった。水彩画のような青と白が天面に広がっていた。まだ春の匂いがしていた。
茣蓙はアマゾンで購入したものであるが、これがめっちゃふわふわでいい感じである。
これのサンセットというカラバリである。これはまじで公園に持って行くのに良い。
息子がどうしても、と強請るので戦闘機の玩具を購入した。息子は最初900円の旅客機をチョイスしたが、私がこっちのが粋であるという口実から1500円の戦闘機、F18ホーネット、ブルーエンジェルスバージョンを購入した。おもわぬ出費であった。しかし帰宅後もずっとこれで遊んでいた。なのでよい買い物をしたと思っている。
総括を最後に記載したい。まとめに入る。この航空記念公園はおそらくもう一度行く。てか行きたい。家族の総意である。事実、我々はこの園内の3割ていどしか回っていない。息子の午睡の時間がやってきたからである。
時間に余裕をもって行きたい。ゴールデンウィーク的なものであったかもだが、駐車場に30分以上待機し、ひじょうに難儀した。
しかしめっちゃいい思い出になった。というのも私が楽しかった、というよりは、息子のエンジョイが熾烈だったからである。
楽しかったんだろうなぁ。と思う。そう思うと、行ってよかったなぁ、いい思い出になってくれたかなぁ、なんて嬉しくなる。息子は飛行機が好きなようであった。なのでまた行きたい。この日のことをずっと覚えていてほしい。私は忘れない。