まだロックが好き

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おめおめと生きている日記

警察官の友だちの結婚式に行ったら「この国はもうだめだな」と思った

Disarmed the thunder's fires.

 警察官といっても彼は刑事である。こんなことを私が胸中に抱えていたら彼は傷心してしまうかもしれない。けど私は、彼が刑事になれたのは確実にコネクションのおかげだと思っている。なぜなら彼の父親は彼と同じ刑事であるからだ。そして彼の父はなんか知らないけどそこそこ偉いっぽい。ちなみに彼の祖父も刑事だったようだ。つまり世襲なわけである。

 

 結婚式のクロノロジーで彼は「真面目な性格で仕事もきっちりこなし、提出する書類は不備もなく迅速で…(略)…よって異例の特進により刑事となりました」的な紹介をされていた。「真面目な性格で仕事もきっちりこなす」 「迅速な提出書類に不備が無い」そんな当然だけで異例の特進ができるようです。警察官は。

 

 学徒の時分、数年彼と行動をともにしていた。仲良しである。仲良しだからこそ結婚式に呼ばれたのだが。

 

 彼はたしかに真面目である。が、一方で不真面目でもあった。バイトなんてばっくれてばっかりであった。継続したバイトも深夜の場末のカラオケ店であった。まったく繁盛なんてしていなくても24時間営業。そこでしていたのは仕事ではなくプレステという事実。そんなバイトであっても口を開けば「アルバイトに倦怠感を抱く」という旨の発言、端的に言えば「バイトだりぃ」である。

 

 そんな彼が刑事になった。立派になったなと思った。しかし上記世襲の疑念も湧いていた。結婚式ってちょっとしか話せないからわからなかったが、彼はもしかして改心したのかもしれない。

 

 しかし問題は彼の同僚である。

 

 彼の同僚の円卓は非道かった。モラルに欠けていると思った。酒に溺れていた。騒動だった。渋谷のチェーン店の居酒屋でうぇいうぇい言っている、人間よりも猿に近しい存在に似ていた。司会とかにも茶々を入れるお調子者集団といった感じだった。

 

 たしかに制服を脱いだらならば公僕とはいえ人の子である。裸になったらみな平等。しかもアルコールのパワーも相まっていたであろう。しかし、彼らは警察官として紹介されていた。「新郎とともに勤務されている○○署のみなさまです」と口上されていた。

 

 私はひとりの社会人として、納税者として、この国を愛する国民として警察組織というものに不安が募った。彼らの所業のせいである。あまりに乱痴気であった。披露宴が終盤にさしかかり酩酊絶叫する彼らを見て「この国はもうだめだな」と思った。

 

これは確か1年くらい前の話である。なぜこのタイミングで思い出したか、というと警察の捜査に不信が募るようなニュースを拝見したからである。

 

 そして当時の結婚式を思い出し、正味あんなやつらが捜査してんのなら捜査なんて適当になるだろうな、と思った。たぶん科学の力を駆使してもあんなやつらが仕事しているのならば冤罪なんてなくならないだろうな、と思った。仕事を早く終わらせたいだけなんだろうな、と思った。

 

 しかし、その一方で、消防団が制服のまま饂飩屋に行って叱咤された的なニュースも見た。

 

 たしかに昨今は息苦しい世の中だと思う。ツイッターとかで拡散されているこの世の悪行(いろんな意味で)の数々をみれば一目瞭然である。だれしもが自分の裁量でものごとを断定成敗しようとする時代である。ちいさな発言が大きな同意を得て市井の大波になってしまう世の中である。

 

 だからこう日記に書くことによって「警察官だって人間なんだ!はじけることだってあるわ!アホ垂れ!」と思われるかもしれない。だから迷ったんだけども、上記ニュースを見て時節感当であるのでは、と思った、ってのは嘘で、今日はとくにほかに日記のネタもないし書いちゃお、と思った。

 

 上記でも述べているが、結婚披露宴で身分は関係ない。彼らは勤務中ではない。無礼講である。羽目を外すべきところであり、仕事を忘れてもよい祝祭である。けれどもそこは警察官の同僚だけではない。たくさんの来賓がいた。たくさんの双眸があった。つねに彼らの奇行に焦点が合っていた。

 

 社会人であるのならば「どう思われるか」を考えるべきではないか、と思う。ましてや警察官である。公僕であり、国家権力をもった組織に属する構成員である。

 

 この「ましてや」にひっかかる方もおられると推察する。しかし、人目が多く付く公的な場面で「私は警察である。国家権力の権化」と言いながらも乱れるその姿を露にするのはいかがなものだろうか。警察の威信なんてすでに無いからあきらめているのだろうか。

 

 私は警察だから毅然とせよ、と言っているのではない。この式場内では警察と認識されているのだから人々を不安にさせるような言動はよしたほうが良い、と言いたかった。てか上司も注意せよ、と思っていたが、上司類もべろべろだった。

 

 式はめちゃくちゃ豪華であった。燦然としていた。料理も格段に美味であった。都内某椿山○。いやしい思慮であるが、多大な金額が浪費されたと思われた。

 

 あさましい私は、私の払った税金がまわりまわって猿の宴会に使用されているのだな、と思った。そんなことを思ってしまう自分に腹が立った。しかし臨席していた参列の友人も同様のことを思ったようだった。

 

 友達の幸せを素直に喜べない。そんなことを思う人間ばかりでは、この国はもうだめだな、と思った。