船が難破しました。あなたは救命ボートに乗っています。眼前には溺れる2人の人間がいます。奥さんと、息子さんです。宗教上の理由で、ボートにはあと一人しか乗れません。
どちらを助けますか?
非情な選択を迫られている質問だな、と思う。しかしそれと同等に酷な質問が、「好きなアイスなに?」というものではないだろうか。
熟慮勘考のうえ、導き出した私のアンサーは、バニラモナカジャンボというものである。
チョコモナカジャンボではなく、バニラモナカジャンボを選択する。その理由は以下の記事に書かせていただいた。
チョコモナカジャンボよりバニラモナカジャンボのほうがうまい - まだロックが好き
モナカ系の、あまり手を汚さない、そして安価で美味い、というファストフード的感覚がとても小気味良い。ゆえによく食べるのだが、パリパリモナカ系の最大ともいえる難点がひとつだけある。
それは、外皮のポソポソが地球の引力に導かれ、床面を汚す、ということである。
だから他人の車内などで食すのはたいへんに気をあぐねてしまう。
ではもっと他のアイスを食べればいいと思う。つまり私が言いたいのは「好きなアイスの選択とはTPOに左右される」ということである。
私はパピコが好きである。
あのチューブ状から吸い上げるチョココーヒーの氷結具合が心地よい。いまではさまざまなパピコのようなチューブアイスの亜種が存在している。それでも私はパピコを選ぶ。パピコという名前も好き。
しかしパピコの最大の弱点はそのチューブの抜け殻の処理である。
通常アイスというのは木棒に付帯していることがおおい。
しかしパピコはチューブに入っている。故に食了後、ゴミ箱が無い状況下では持ち運びをせねばならなくなり、とても難儀する。
また、パピコの凹凸のあるチューブでは、内容物のチョココーヒーアイスをすべて除去することは不可能である。あまりチューチューしすぎると耳の下の顎関節の部分が痛くなる。残ったパピコの残留思念はゴミとして運搬するさい、鞄の中でちょろっと流れ出てしまい、鞄を開けば、べたつく阿鼻叫喚の世界が展開されるのである。
だからパピコはゴミ箱が近隣に存在しない場合、選択できないのである。
私はパルムがチョコアイス界では最強だと思う。
カチンコチンのチョコの外殻ではなく、しっとりしたなめらかな食感の残滓ある、あのチョココーティングに、純粋無垢、穢れをしらないバニラアイスがやわらかな優しい「あたたかみ」のような味を与えてくれる。
しかしパルムは、俺、あれ、冬の食い物だと思う。
アイスといえば夏、という感じがするけれども、こういった濃厚なチョコとバニラのハーモニーは夏場に食うにはくどい。夏はさっぱりサクレレモンみないなものが良い。
だからパルムは冬に食べたくなる。アイスの選択は季節によっても変動する。
あと8割の確立でパルムを食うと口角にチョコが残るので、人と会う約束がある場合はその点を留意したい。
上記で、夏はさっぱりサクレレモン、と書いてある。
そう。アイスは四季折々でさまざまなラインナップを見せてくれる。
秋になると芋系、栗系のこっくりした淡白で濃厚な味覚が増えてくる。
私はじつはコレ系が苦手である。あまり選ばない。
秋はやっぱり梨系が良い。
はじめてガリガリくんの梨味を食ったときの衝撃を覚えていますか?
あれはでも、秋というよりは夏に出てくるけど。しかしガリガリくんは急速に身体を冷却する効果があるので、これは逆説的なのかもしれないけれど、夏場の空調がゴウゴウ音をたてているようなひんやりした室内には向かない。夏は夏でも照りつける太陽の下でガリガリくんは食いたい。
夏はさっぱり氷菓もいいけど、やっぱりマンゴー系の濃厚アイスも良い。
先日、マンゴーのアイスを食した。あれはマンゴーのアイスでなはく、もうマンゴーだった。死ぬほどうまかった。
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しかし時として濃厚系のアイスは喉が渇くことがある。
潤しているはずの喉が、果実の酸味などで刺激され、ドリンクを所望することなどが起こりうる。だから、熱中症などが叫ばれる平成の世に、マンゴーアイスにむしゃぶりつくのはけっこう危険だったりする。
夏やら秋やら冬やらうるさいが、春にだってアイスは食いたい。
眠りから目覚める草木のよろこびとともに、抹茶系のアイスが食いたい。
春は抹茶ですよ。
だから、ただ「好きなアイスは?」と問うのは無粋である。
もしその質問がしたいのならば、事細かなタイム、プレイス、オケイジョン、そしてシーズンを設定するべきである。
さいきんはアイスの実にはまっている。くそうまい。
今週のお題「好きなアイス」