まだロックが好き

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おめおめと生きている日記

JR高崎線の遅延で学んだ、いい感じに過失をごまかす方法

2017年8月23日。水曜日。お天気は晴れ。

今朝方。そこそこ好いうんこが出た。82点。87点。うれしかった。それに息子も好い具合に保育園に行ってくれた。重畳だ。

 

私は「埼玉の聖都」と言われている上尾市に住んでいる。ちなみに「埼玉の聖都」と言っているのは私だけ。でも私が言っているのだから言われているのは間違いない。そんな演繹。で、高崎線というJRの電車を利用させていただいている。

 

その高崎線が本日、停車駅であるはずの「宮原駅」と飛ばした。いわゆるオーバーランというやつである。「急停車します。ご注意ください」とアナウンスが流れたときにはすでに宮原駅を通過したところだった。

 

 

車内は騒然としていた。どうしたのって具合にざわめきあっていた。すると電車の操舵者と思しきアナウンスが流れた。「ただいま宮原駅を通過して停車いたしました。状況確認をいたしますのでしばらくお待ちください」。その声は震えているようだった。

 

しばらくして電車は動いた。それは宮原駅に向かわなかった。車内の放送で「本日、宮原駅を通過して停車したため、宮原駅は通過駅とさせていただきます。宮原駅でお降りのお客様は、大宮駅にて下り列車をご利用ください」とのことだった。男の道に後戻りはない。私はなんて高潔な電車なんだ!と思った。

 

宮原駅通過で電車はすこし遅れていた。10分にも満たない程度であったが遅延は遅延である。途次、大宮、さいたま新都心、浦和、赤羽、尾久、上野、東京まで「宮原駅を通過してしまったため電車遅れております」というアナウンスがなされていた。と思う。あまり聞いていなかった。しかしそれは判然と新橋駅で放送の内容が変化した。

 

新しい声だった。電車の操舵者が変わったようだった。「この電車、高崎線内踏切安全確認をおこなったため遅れております」と言った。うそやん。と思った。私はそのまま新橋で降りたが、なんだか釈然としなかった。

 

もしかしたら本当に踏切内安全点検をしたのかもしれない。しかしそれは私は確認できていない。そんなふうな停車はなかったように思われる。おかしいな、と思った。それになぜ宮原駅を通過してしまったのかの説明が一切なかった。

 

上記で学問したことが2つある。

ひとつは「確認できないことは嘘にならない」ということである。踏切内の安全確認は誰かがしたのかもしれない。けれどもそれは乗客である私は確認するすべはない。ただひとつ私が知っているのは、遅れた理由はオーバーランだ、ということである。しかし踏切内安全確認は立派な遅延の理由になる。いつ行ったのかわからないそれがメインの遅延の理由にすり替わっていた。

 

もうひとつは、遅れた理由の責任のゆくえである。安全確認。これはとても大事である。お客様の安全を守るために常住点検は欠かせない。「お客様を思う心」そういった理由であれば、ゆるせてしまう。というか許さざるを得ない。しょうがないか、の精神である。

 

こういった「確認できない事象」「お客様を思う心」を全面にだせば、たいていの言い訳ができることに気がついた。

例えば。たいせつな書類を紛失した場合である。こんなときどう言い訳をするか。以下である。

 

「あの書類には呪いがかかってしました。平将門のやつです。そんな呪詛の息がかかったものをお客様に提出することはできません。だから私が責任をもって処分しました。ちゃんとネットで見つけた霊媒師に依頼したので大丈夫です。1万2000円でした。領収書はあります。でも自腹でもかまいません」

 

こんなことを言われれば「あぁなんて殊勝な人間であろうか」とお客様は随喜の涙を落とすだろう。処分した書類の呪いは確認できないし、なにより相手を思っての行動である。書類などどうでもよくなる。そして堅固な信頼を勝ち得ることができるだろう。

 

私は今、いたたまらぬ技癢を感じている。はやく書類を失くしたりしたい。このような技術を伝播してくれた高崎線直通上野東京ライン熱海行きに、まったく感佩した一日であった。

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