もうこれが可愛さのピークだな、となんどおもったことだろうか。しかし、それを次々に記録更新していく。息子がかわいすぎる。
かつて英国にビートルズというバンドがいたが、かれらの「プリーズ、プリーズミー」というアルバムは売れまくり、英国で三十週連続で一位をかくとくした。そのプリーズ、プリーズミーの不動たる一位をやぶったのが、「ウィズザビートルズ」というビートルズのセカンドアルバムである。そんな感じで、息子の可愛さを更新するのは、まあたらしい息子の可愛さだ。 なんてこった! この可愛さビートルズ級だ!
なにがそんなにかわいいの? とおもわれるので記載したらめる。まずあっとうてきに顔面がかわいい。八の字にたれ下がった眉。大きくはないが澄み切った光が宿る瞳。ちいさく小上がった鼻。さいこうにかわいいのは口元だ、なぜなら俺に似ている。まるくやわらかな輪郭に、切りそろえられた前髪がのっている。
かつてアメリカに、シカゴというホーンセクションをふんだんに取り入れたブラスロックバンドがあったが、そのボーカル、ピーターセテラという人は「百万ドルの歌声」などと称されていた。であれば、わが命脈の果て、この息子の顔面は百万ドルの顔面だ! なんておもったが、えっ!? それって日本円に換算するとだいたい一億一千二百万ってこと!? やすっ! そんなちんけな金額じゃあこの笑顔は購入できないぜ。
息子は三歳になったばかりなのだが、さいきんよくしゃべる。口癖は「えぇ…、なんでぇ?」である。この「えぇ…」が吐息交じりですっごいかわいいの。妻とよくものまねしている。そしたら、息子、まねしないでよぉ! だって。あ、かわいい。
そんな男の子なのだが、それはもうちいさくてかわいいポークビッツが股間に付属している。そのポークビッツに、男性の生理的な現象で血液が充満してしまうことがある。ぴんっ、と跳ね上がってしまう。そのときの我が子の周章狼狽がとってもいとおしい。「ぴんって、しちゃったの、なおちて!」と愁訴する。哀願する。陳情する。途轍もない可愛さだ。
息子は怪盗グルーという映画が好きで、たまにいっしょに見るのだが、その「ミニオン危機一髪」という映画でグルーがアグネスに「大人にならんとってくれよ」と言う科白がある。
まさにそのとおりだな、と思う。このままサランラップにつつむか、ジップロックで真空パックして、いま現在最強にかわいい息子を保存しておきたい。写真とか映像という手段もあるのだけれど、このライブ感をいつまでも体感していたい。愚図ってたいへんだなぁ、とおもうときもあるけれど、それでも。
いつまでこんな可愛いのだろうか。未知数すぎる。でもきっと二、三歳までなんだろうなぁ。喃語でふにゃふにゃしてたときも可愛かったけど、いまはいまですげー可愛い。
昨晩は早めに帰宅した。寝る前の息子に会えた。かちかちになった心の奥が一気にやわらかくなったような気がした。土曜は息子のうんどうかいです。おばけのバケちゃまをダンスするらしい。とくにオチはない。