まだロックが好き

まだロックが好き

おめおめと生きている日記

Linnerのライトニングイヤホンは6000円以上の価値があるのかもしれない

 ブルートゥース接続をしたさい、「きっとだいじょうぶ」という確信はあるのだけど、ちょっと心配になり、イントロは片耳のイヤホンをはずし、耳をアイフォンのスピーカーにそば寄せて「よし! ちゃんと接続されてるぞ」と確認するのは、おれだけでしょうか?

 

 ブルートゥースの充電のもんだいもふくめて、ずっと有線のイヤホンを使用している。パナソニックのカナル式のものだ。これは値段も千円を切っており、音質ももんだいない。洗濯しても、断線しても、紛失しても、すぐに買いなおせる。おれはおそらくこのイヤホンを十本以上は購入している。

パナソニック カナル型イヤホン ホワイト RP-HJE150-W

パナソニック カナル型イヤホン ホワイト RP-HJE150-W

 

  しかし、iphone7に変更してからは、イヤホンジャックが廃止されてしまった。天が震えるほどびつくりした。神さま、ぼくはこれからどうすればよいのでしょうか、と欷歔っていると、ライトニングジャックのイヤホンをLinnerという企業が発明していた。まさに天佑。助かりました。つかった。とてもよかった。

 

f:id:yuasayo1013:20180213080917j:image

※ジャケ、NC21 Lightningという名称

ノイズキャンセリング機能

 いちばんの目玉はノイズキャンセル機能だろう。

 

 満員電車の車内でしようしてみた。静寂の海がたちあがった。青白い月と、それが照らす灰色の浜。闇に染まった波が静かに砕け、星々の瞬きだけがしんしんと降り注ぐような、しづかなホワイトノイズだけが満ちていた。

 

 そんな詩情が充溢してしまうような静けさがあった。むろん、ノイズキャンセルにも限界はある。轟々とした街の音や、猥雑な喧騒は消える。が、やはりノイズキャンセリングの構造上、突発的な音に対してはよわい。これは仕方がないだろう。とくにハイ抜けする音はやっぱりどうしようもないですね。

 

 リンナーの開発者は明晰だとおもう。ホワイトノイズが発生することを見越しているのか、スイッチをオンにすると同時に、中音あたりがすこし上がるように感じる。音帯でホワイトノイズを聾してしまおう、という算段であろうか。

 f:id:yuasayo1013:20180213080955j:image

 ※おれのにわか仕込の写真術では白が飛ぶ

モニターモード

 ノイキャンを発動させているさい、まわりの音が聞こえないため、スイッチひとつで音楽を流しながらまわりの音を聴くことのできる機能がついている。あんまりつかわないかなー、という印象だった。ただ、有事のさいは必要かもしれない。

 

ノイズキャンセルの使い道

 うるさいなー、という場所で、音楽を聴かずともノイズキャンセルのイヤホンをアイフォンに刺し込みさえすれば、水を打ったような静けさがたちのぼる。それは言いすぎかもしれないが、ふいに解除したとき「世界はこんなにも喧囂にみちていたのか!」と驚く。けっこう効果があるので、電車で読書などのさいにも活躍するのではないかとおもった。

 

f:id:yuasayo1013:20180213081016j:image

※イヤホン、いいかんじ。

音質について

 リンナーのイヤホンはミドルよりだろう。ハイもマイルドで、ローが出まくっているという弩派手なドンシャリ演出のイヤホンではない。しかし、とても良い。すごくキレイにバランスよく聴くことのできるイヤホンだとおもった。

 

 よくイヤホンについて、「低音」に言及するひとが多い。低音は音像の立体感をおもに支配している。そのため、耳腔を振わせる低音が効いていると「おっ!」とおもう。この「おっ!」がイヤホンの品質だと思われそうだが、個人的に音でたいせつなのは、中音と、音の解像度だとおもっている。

 

中音について

 おれはよくロックやポップスなどを聴くのだけれど、そうなると主旋律はやはりボーカルだろう。ボーカルの音帯はメインはミドルなので、これがはっきり聴こえると気持ちがよい。

 

 また鳴っている楽器のなかで、ミドルを占めるものはおおい。上述のボーカル、ギター、スネアドラム、ハイタム、ロータム。ハイハットもミドルが大事だとおもうし、ベースでもミックスのさいもっとも肝要なのはミドルだとおもう。もちろん、その曲の音作りにもよるが、と付言しておきたい。

 

音の解像度

 その中音がちゃんと分離して聴こえるか。低音に負けてないか。というのが、おれのなかでのイヤホンの選別方法だ。ちなみに冒頭のパナソニックのイヤホンは低音がやたらと出るが、この中音の分離感のいっさい皆無感と、その低音への負けかたは尋常ではない。

 

 いっぽうで、リンナーのイヤホンはこの分離感がとてもある。ゆえに中音として振っている各楽器の位置、これをパンや定位と言うのだが、この定位が明瞭で判然としていた。

 

f:id:yuasayo1013:20180213081030j:image

※スイッチ部分

ジャンル別に聴いてみる

 おれは、なんでもかんでも音質が良ければよい、とはおもわない。古臭いブルーズはいなたい音で聴くほうが味がでる。ジャンゴ・ラインハルトというギタリストが好きで、さいきんビレリ・ラグレーンのトリビュート作品を聴いたのだが、ジャンゴの時代の音楽はジャンゴの時代の音質で聴いたほうが良い感じに聴こえる。音楽はふんいきで聴く、というぶぶんがある。

ロック、ポップス 

 さいきん、ゲスの極み乙女。というバンドを発見した。えっ!? 今更!? と朋輩に言われた。このバンドの楽曲はミニマルなフレーズを積み重ねたものがおおく、そこに組み込まれた主旋律と、ピアノのポリフォニーがやたらとかっこいい。たぶんあのバンドで一番才気がやばいのはピアノの人だろう。

 

 そのピアノがたいへんクリアーに聴こえた。あ、ここのフレーズこんなことしてたんだ! みたいな発見もあった。ゲス極というバンドはアンサンブルの妙も秀逸なため、このぜんたいのバランスを堪能するために、このイヤホンは絶妙だ、とおもった。

魅力がすごいよ

魅力がすごいよ

 
ジャズ

 これまたさいきんピアノジャズに惑溺しているので、ちょっと聴いてみた。有名なビル・エヴァンスの「ワルツフォーデビー」だ。

 

 ピアノジャズというのも楽器のバランスがとても良いですね。ビルエバの、音をそっとだいじに置いてくるようなタイム感と、しなやかなタッチが、そのセッションのオーラとともに聴こえるようだった。

 

 もっともだいじなのはベースだろう。ウッドベースの音はフレットがないために、音の輪郭がぼんやりとしている印象がある。このためひたすら低音がでて、分離がわるいような上記パナソニックのイヤホンでは、気持ちよくぜんたいのバランスが聴こえない。

 

 しかし、リンナーはこの分離感がとても良くできている。そしてミドルが活きている。そのため、いい具合にベースの輪郭、その発弦のニュアンスが非常に聴こえやすい。また、上記のノイキャンも相まって、ピアノジャズのような静寂の前提が必要な音楽にはうってつけだな、とおもった。

ワルツ・フォー・デビイ

ワルツ・フォー・デビイ

  • アーティスト: ビル・エヴァンス・トリオ
  • 出版社/メーカー: Universal Music LLC
  • 発売日: 2007/04/25
  • メディア: MP3 ダウンロード
  • この商品を含むブログを見る
 
パンク

 また冒頭が「さいきん」になってしまうのだが、スターベムズという日本のパンクバンドが新譜をだした。これをリンナーで聴いてみた。

 

 そもそもパンクを良い音質で聴く、ということに意味があるのか、とおもう。が、しかし。このヒダカトオルという人の携わるバンドには「中音のきらめき」があるように、いつも感じる。

 

 彼の前身バンド、ビートクルセイダーズというバンドから聴いていたが、そのときからギターの音質に、ハラハラと舞い落ちるような光の粒子のような中音があり、とても気持ちが良い。その中音が触れられるほどに感じられた。

STAY PUNK FOREVER(DVD付)

STAY PUNK FOREVER(DVD付)

 

※ジャケがクソかっこいい。余談のため小文字。

 

f:id:yuasayo1013:20180213081045j:image

※こういう写真をしばしば見るので撮ってみた。

Apple純正イヤホンについて

 すこし余談だが、アップルの純正イヤホンについて申し上げたい。おれはこのアップルのイヤホンはけっこう優秀なイヤホンだとおもっている。悪くいえば、物足りない。が、良くいえばすごくフラット。分離感もローも弱いが、すごくエアーで聴いたような音をしている。※エアーで聴く、とはイヤホンやヘッドフォンでなくスピーカーで空気を震わせて聴くという意です。

 

 ソニーからMDR-CD900STというヘッドフォンが出ている。だいたいレコーディングはこれを使用する。ミキシングもマスタリングもきほんまず全部これでおこなう。つまり業界標準だ。※おれがレコーディングとかしてたときはそうだった。いまはちがうかもしらん。

SONY 密閉型スタジオモニターヘッドホン MDR-CD900ST

SONY 密閉型スタジオモニターヘッドホン MDR-CD900ST

 

 

 おれがなにかイヤホンについて述べるさい、このヘッドフォンと比較することがおおい。これは正直、低音とかあまりでない。そのかわり音がフラットで分離感がすさまじい。

 

 その点で、アップルの純正イヤホンはこのヘッドフォンに近いフラットさがある。気がする。ただ恐ろしいほどに音漏れするので、必然的にちいさい音で聴かねばならなくなる。アップル純正イヤホンを静謐な場でつかうのは、ちょっとした公害かもしれませんね。ただ、よいイヤホンであるな、とはおもっている。

 

f:id:yuasayo1013:20180213081055j:image

※日本語説明もある

総括

 とても良いイヤホンを手に入れたとおもっている。おれは音についてはむちゃくちゃ素人だし、個人的に音楽の音質にはあまりこだわりはない。とくに外で聴くばあいには、費用対効果と減価償却、あと耳コピ用にベースが聴こえれば良い、ぐらいにしかおもっていない。

 

 しかし、リンナーとても良い。ただひとつ欠点がある。おれはアイフォンのバッテリーが少なくなったさい、音楽再生ツールをipodに切り替えるのだが、通常のイヤホンジャックではないのでリンナーが使えない。予備バッテリーを買おうかしらん。

 

 いまは価格も一万円を下回っているので、ちょっと音にこだわりたいアイフォンユーザーはつかってみるとよいとおもう。もちろん、金額をだせばもっと良いイヤホンなどくさるほどあるだろう。音質なんて感じかたに個人差がある。おれはこれで十分だな、とおもった。