まだロックが好き

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おめおめと生きている日記

吹き替えの海外ドラマは「ねぇさん」と「ネイサン」を一緒に出すな

 昨日のところ。妻と海外ドラマを視聴した。原語ではなく吹き替えである。まだホンヤクこんにゃくが開発されていないので。はは。いらぬ一文でしたかな。

 

 梗概はこうである。姉であるFBI捜査官。その弟が殺人の容疑で起訴される。しかも弟は現在逃亡中であり、行方がわからない。こまった。ってゆうか弟はそんなことしないはずだ! つって、FBI捜査官はパートナーとともに、弟と真犯人を捜索する、というものである。

 

 そのストーリーの登場人物に「ネイサン」という白人男性が参上した。これがいささかややこしい。ちょっと科白はちがうかもしらんが、下記はそのときのシーンである。

 

「ねぇさん、おれのことを信じてくれよ。その晩は、たしかネイサンと一緒にいたんだ…」

 

 妻と「おいおい、マジかよ」みたいな空気を醸成させた。ようするに、「ねぇさん」と「ネイサン」が、イ音のエ音便化によってネイサンがネーサンと成り果て、となると「ねぇさん」と「ネーサン」が同音と相成り、ごっちゃになってややこしいのである。すなわち音だけ聞けば、

 

「ねぇさん、おれのことを信じてくれよ。その晩は、たしかねぇさんと一緒にいたんだ…」

 

 おまえら一緒にいたんかい。ってゆうかグルじゃん! この時点で犯行の供述しちゃうの!? みたいになる。なるんですよ。おれは。

 

 いや、べつにわかる。会話の流れのなかでその「ねぇさん」と「ネイサン」の区別はつく。吹き替えを担当した声優の方も、イ音を「ネイサン」という単語のなかでつよく意識してくれていたのだろう。明瞭判然とした口調で「ネサン」といっていた。「あぁ、人名のネイサンね」ってなった。ワンクッションの思案があったけど。

 

 しかし、であれば、ネイサンは「Nathan」と記載するので、ネイザンと云えばいいじゃん! とおもうのが人情である。もしくは姉の呼称を「ねぇちゃん」にすればいいじゃん。もしくは「あねき」でもいいじゃん。ちょっと盗賊感がでるけれど、アメリカっぽいし。なんておもうのである。ってゆうか「ねぇさん」っていうとカツオの翳がチラつきませんか? 軽妙な音頭とともに坊主頭の三頭身が。

 

 以上は「ねぇさん」と「ネイサン」が同時に発語されるパターンである。しかし、これが「ネイサン」単体で勃発したばあい、吹き替えにおけるイ音のエ音便化が意識されないため、「ネーサンのやつ、家じゃいっつも裸でいるんだ」なんていう科白があったあとの、場面転換。室内の風景。だれかの息づく音。たかまる期待値。肌色の芸術的な映像がうつるのか。セクシードキドキ。なんてときの男性のネイザンだったパターンとかね、もうほんとやれんよ。まじ。

 

 すなわち、総合的にネイサンというネーミングは日本語の吹き替えにおいて、とてもややこしい。だからやめてほしい。ネイサンはネイザンにしてほしい。でもそのネーサンという表記をつかった叙述トリックなんかができるかもしれませんね。ネーサン事件です。