黒人へ圧倒的なあこがれを抱いている。
生まれ変わったら黒人になりたい。
まず単純に外見がかっこよいと思っている。筋肉質なフォルムが良い。
あと私もミュージシャンのはしくれ。黒人の持つグルーヴには畏敬の念さえいだいている。
しかし私はニッポンのサイレントヒルこと、静岡で生まれ育った中肉中背の毛深い純正ジャパニーズおっさん。
どうにか黒人に近づこうと、アゴでリズムを取りながらベースなんか弾いてみたりしたけど全然ダメ。
ドレッドヘアとラスタカラーのレゲエ帽が足りなかった。けっしてリズム感が足りないワケではない。あとリズムはちゃんと左足でとったほうが良い。
久保田利伸という黒人ミュージシャンがいる。
先日ラジオを敬聴していたら彼が出てきた。
どうやらデビュー30周年らしい。とても日本語が堪能であった。
彼は私と同じく静岡出身であると豪語していますが、ウソです。
彼は1962年、ミシガン州ミシガン湖のほとりの、小さな田舎町で生まれました。
7人兄弟の末っ子で、小さなころから歌の好きな少年でした。
裕福とはいえない家庭でしたが、牧師の父と、音楽教師の母のもとに育った彼はたいへん音楽にめぐまれた環境で育ちました。
あるとき転機となるミュージシャンに出会います。
スティーヴィー・ワンダーです。
彼は一瞬のうちにのめりこみました。スティーヴィーからR&Bの洗礼を受けてしまったのです。
かくして必然か、偶然か、運命か、ミュージシャンとなった彼は1986年にデビュー。めでたく今年30周年を迎えたのです。
そんな彼が今年、THE BADDESTという名目で2枚のアルバムを出しました。
ひとつはヒットソング集。
もうひとつは様々なアーティストと共同作業をおこなったコラボレーション集。
そのコラボ集の中で親日家である彼は、日本の、ある意味国歌といっても良いであろう、故 坂本九氏の「上を向いて歩こう」をMusiq Soulchildと共にカバーしています。
もちろん題目は「SUKIYAKI」です。しかし日本が大好きな彼はちゃんとサブタイトルを記載してくれています「~ue wo muite arukou~」。礼節を知る黒人です。
久保田利伸はニッポンが大好き。
アメリカ人の彼は週末はやはり定番バーベキュー。
そこに欠かせないのが日本ハム株式会社が出す「シャウエッセン」です。
シャウエッセンは母国の友人たちにも好評。
「イママデタベタソーセージデイチバンウマイヨ!!」絶賛の声です。
ゆえに、ケンカもおこります。
シャウエッセン紛争です。一袋に5本しか入っていないのがいけない。せめて偶数に。
そんな友人たちのために久保田は日本に着たら必ずシャウエッセンを大量に購入していきます。
尋常ではない数量です。業務スーパーをハシゴします。
そうなると、やはり起こるのは、シャウエッセンの高騰です。一時的にニッポンハム株式会社の株が跳ね上がります。
各国の株式市場が荒れます。こぞってデイトレーダーたちは久保田の来日スケジュールをおさえようとします。久保田の来日で一生の財を得た人間がどれほどいることか。
そこで政府は対策を打ちました。久保田をシャウエッセンの広告にする。さすれば、彼に合法的にシャウエッセンを与えることが出来る。
かくして彼はニッポンハム株式会社の広告塔となり、シャウエッセンを無限に手に入れ、母国の友人たちと優雅なバーベキューを執り行うのでした。
めでたし。めでたし。