人間の耳には内耳と外耳という部位がある。
内耳というのは読んで字のごとく耳の内側にある部位。外耳というのはこの世界の空気振動をキャッチするために外側に付属している部位。中耳ってものあるけど無視します。めんどいので。
自分の声を録音したものを聞くと「きもちわるい」ってなるのは、内耳と外耳のイメージの差異があるからである。つまり自分の声はふだん内耳で聞いている。それを前提としつつ、我声を録音媒体を介して外耳で聞いたときの脳内の想像と現実のギャップによる違和感、これが原因である。
よく歌が上手くなる方法として、腹式呼吸をマスターする、なんてのが情報として横溢している。腹筋しろ!なんてね。なんと浅ましく体育会系。部活か。それは後手でよろしい。
ほんとうに歌が上手くなりたいのであれば、とにかく録音。そして内耳と外耳の感覚をちかづける。これが最初にやるべきことです。
なんだかモノマネうまい人っているじゃないすか。急にできちゃうヤツ。あの人たちは先天的に内耳と外耳の感覚が近い人なんすよ。だからそういう人は歌もうまい。くやしい。
そいで、自分の声がどんなもんか、というイメージを作る。それにあった曲を選ぶのが歌が上手くなる秘訣です。なぜならば声質により、合う曲と合わない曲があるからです。ビーズの曲をスピッツが歌ってしっくりきますかね。聴いてはみたいですが。
そんなマジなことを500文字ちかくも書いてしまった。まぁ私は声訓練、通称ボイストレーニングなんてのに通ったわけではないのですけどね。経験から会得した方法です。ちなみに私は、ぶっちゃけ歌がめちゃくちゃうまいです。うそです。そこそこです。でも歌声は100万ドルです。これもうそですが上記の録音論はほんとう。まじ。
たまにバンドセッションなんてのをやっていると、ボーカル、発声、叫び、の役割をいただくことがある。私はほんとうはギターが弾きたいのだが、まわりのボーカルが下手糞すぎて私がマイクの前に立つ。私のギターが下手糞なわけではない。そう思いたい。まじ。
内耳と外耳の関係を知っているので、セッション前にはかならずカラオケなどに赴き、いっぱつ歌唱してみる。印象をたしかめたいからだ。私がこの曲を歌うとどうなるのか。どう歌えばいい感じに聴こえるのか、などの研究をする。
イケるなってヤツは二、三回歌って終わりだが、こりゃ合わないなってヤツは時間が許す限り歌う。
比較的まじめなエピソードであるが、まったくもってロックじゃないので誰にも言っていない。だからこれは私と君だけの秘密にしてほしい。
なので、私の中でカラオケというのは、娯楽施設というよりは練習場所である。わたしのアイフォーンのボイスメモには録音の軌跡が刻まれている。写真、ガレージバンド(という音楽作成アプリ)、ミュージックの次にボイスメモのデータ容量が多い。3ギガしかはいってなかったがドラクエ7よりデカイ。
録音内容をたまに聴く。歌が練習できないときは、録音した歌を聴くと内耳と外耳のイメトレになるからだ。ははは、まじめだ。しかし、もう歌なんて歌わない。壮絶すぎて相席したボーカルのこころを折ってしまうからだ。私の声は罪だ。
なので、カラオケ。これは困る。とくに歌いたい歌もない。十八番なんてない。意思がない。自分をもっていない。さまよう流浪の民。自分をさがしたい。インドあたりにあるかもしれない。
しかし、なんだかんだでミスチルの「終わりなき旅」「エヴリシングイッツユー」「トゥモローネバーノウズ」はちゃっかり毎回歌っている。
ミスチルはぜんぜんファンじゃない。音楽的にすげぇとおもうことはあるが。たぶん私の声は桜井みたいに粘っこく、「にゃみにゃみ」しているのでイメージがちかい。だから歌っているんだと思う。ちなみに難しい。ミスチルはなめないほうが良い。ほんとうはエレカシになりたい。まじ。
今週のお題「カラオケの十八番」