まだロックが好き

まだロックが好き

おめおめと生きている日記

週末のうちの庭を 野良猫が歩く

ご自慢のちぎれ尾を 水平に威風堂々と

糞を落としていく猫は 忌み嫌われていた

庭にかがむ その体めがけて 罵声を投げられた

 

人間には慣れていた むしろ舐めていた

登記簿を思いやることなんて 煩わしくて

そんな猫を追い払う 怒る三十路の声

「おいてめぇ わざわざうちにきて くそをするんじゃねぇ」

 

庭の中かがんで 必死で息こめて

うんこという名のお土産を

 

放った 放った 生まれた排泄の

優しさが ぬくもりが まだ信じられなくて

 

こんだけ出したって ケツに糞は付いていた

 

それから猫はたまにきて うちでクソをする

私はクソ猫に名前をやった 

うんこついてるから うん尾

 

我が家の裏の砂利道は ほとんどクソまみれ

クソ猫は手馴れた排泄を 堂々としていたが ある日

 

我慢の限界です 猫避け散布しよう 

最後の別れになると 胸は高鳴った

 

散布した 散布した うんおが来ないように

夢を見て 借り入れた俺の35年ローン

 

まだらなクソ猫はそこそこ可愛いが それでもうんこはとっても臭い

それゆえ私は非情になった 猫避け たしかに散布した

 

顆粒のつもる 我が庭を クソ猫がみてる

今は無き あのころの栄光を その口に銜えて

「うんお。できるもんならしてみろよ」 高を括る私

 

なんとでも言えばいいさ 俺にはそんな猫避け 効かないぜ

 

「運男」「ラッキーマン」と呼んでくれた

優しさも ぬくもりも すべて薙ぎ払い 呼んでくれた

 

忌み嫌われた家でも 猫の縄張りは関係ない

その日の夜に忍び込んだんだろう なんどでも放つよ

 

猫はたどり着いた 我が家の拙庭に 

腰をかがめてそして あと息むだけ

 

放った 放たれた すでに慢心なんてない

うなだれる間もなく 遅い来る絶望の朝

 

負けるか 次は音波だ くじけそうな心を

強く持ち ぽちった 見つけた!アマゾンで!

 

毎度やってくるクソ猫の もう動かない現実に

アルファベットひとつ 加えて猫をよんでいる

直接的に呼んでいる

THE LIVING DEAD

THE LIVING DEAD