まだロックが好き

まだロックが好き

おめおめと生きている日記

専門家の言う「邪道」こそ邪道だとおもうよ。俺はね。

愚痴ですけど、ちょっと聞いて下さいよ。なんつって誰もなんもいってくれなかったらさびしい。愛してくれ、俺を。

 

紅茶はアールグレイというやつが好き。ほのかに柑橘系のさわやかな香気がついていておいしい。これをシュガーかなんかで甘くして口に含むと幸せの福神が口腔内で舞い踊る。まさに口福。なんちって。

トワイニング クオリティ アールグレイ 100g

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それをちょっと紅茶に詳しい人、その手の好事家に話した。そしたら言われた。「アールグレイは邪道だよ。所詮はフレイバーティーだから。紅茶を知りたいならダージリンとか飲むといいよ」だって。

 

私はブログに大文字などを使うことを普段しない。でも強調として優秀だとおもうので今日は使ってみようと思う。それを言われた私の気持ちは、

 

知らねぇよ

 

である。

 

べつに紅茶が知りたいわけじゃねぇよ。アールグレイがうまいつってんだろ。同意しろよ。おまえが紅茶好きなの知っているから、おまえに合わせて話題を提供してやったんだよ。俺がうまいと思ったものをうまいつってんだろ。ばかじゃないの。おまえそうやって昂然と該博の知識を縷縷として開陳するから嫌われんだよ。俺はおまえに「人の意見を否定するのは邪道だよ。しょせんは諍いにしかならないから。コミュニケーションを知りたいなら忖度という言葉を知ったほうがいいよ」と言いたいね。迂愚なやつめ。

 

こういうことが度々ある。

その手の知識を博している御仁は、そういって自己満足を遂行する。なんなんだ!いたたまらぬ技癢を感ずるのか。なんという超愚劣な性根だろうか。

 

詳しい人に否定されると、なにも反駁できない。知識のある人に「だっておいしいじゃん」と小学生みたいな理由を陳情しても、しょせんは蟷螂の斧。茫漠な専門的知識をもってして海嘯のごとく、私の卑小な思惟をさらっていくのである。

 

そうは思っても私は大人だ。「へぇそうなんだ。やっぱ詳しいね!」なんて阿諛追従。しかし水際立つ彼の意見は、右の耳から左の耳へ抜けていく。そして私は孤影悄然と、自分の気持ちに嘘をついたことに、うしろ暗い思いをするのである。

 

もし本当にそれを愛しているのなら、もっと鷹揚にうけいれてほしい。こっちは素人なんだよ。もしなにか大過があったとしても言笑自若としていてほしい。ってゆうか、アールグレイだって紅茶として成立し、流通販売されているんだから、紅茶好きならそれも受け入れるべきではないか。それを邪道と言ってしまうおまえの心粋が邪道である!業腹である!

 

しかし一方で彼が、紅茶の真髄を伝播したい、と念願する気持ちもわかる。私だってストロークスばかり聴いている友人に「リバティーンズも聴いてくれ」と言いたかったことがある。だからきっとダージリンの飾らない茶葉の香りが、紅茶界では審美眼をもってして矯めつ眇めつされている所以であり、そこに紅茶の「真理」、いわば紅茶のイデアが存在するのかもしれない。

 

つまり彼は、私に紅茶を教授してくれようとしたってこと?

なんていう傲岸不遜な人間なんだ、私は。彼の優しさを勝手なマウンティングだと思っていた。本当に愚かしいのは私の肝胆なのかもしれませんね。

邪道 1

邪道 1