音楽が死んだ日 - まだロックが好き

　ドン・マクリーンという歌手がいる。１９７１年に彼が歌った「アメリカン・パイ」という曲には「音楽が死んだ日」という印象的なフレーズが使われているが、どうしいうことなの？　というとバディ・ホリィたちが死んだ日を寓意をこめてそういっているのである。

　１９５９年２月３日。バディ・ホリー、リッチー・ヴァレンス、ビッグ・ボッパーが飛行機事故で亡くなる。ロックンロール・トゥループというショーに向かう途次であった。このショーはもちろんキャンセル…？

　されるかとおもいきや！　フランキー・アヴァロン、フェビアン・フォート、ポール・アンカというティーンアイドルが代役をつとめたのである。ロックンロールがティーンアイドルへ変革する象徴的なできごとであった。

　これをしてドン・マクリーンは「音楽が死んだ日」と形容したのである。ただロックンロールのスターが鬼籍に入っただけでなく、若者から自然発生した「ロックンロール」が、社会人たちの商業的な臭気のたちこめるアイドル文化へと横車を押すようにシフトした出来事であったのである。

　ちなみに１９５９年という年の暮れ。チャック・ベリーも逮捕される。１４歳のウェイトレスを買春し、マン法に触れる。そしてチャックは三年の服役を食らうのである。こうしてロックンロールの息は絶え絶えになってしまった。

　ちなみにこういった古いロックンロールを「オールディーズ」と呼ぶが、その名称は１９６０年代から使われていた。「オールディーズ・バット・グッディーズ」。そういったロックンロールのオムニバスレコードが発売され、当時の元ティーンたちは、なつかしむようにロックンロールを聴いたのである。