まだロックが好き

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おめおめと生きている日記

暴力教室とロック・アンド・ザ・クロック

「暴力教室」という映画が放映された。なんだか「万引き家族」みたいなタイトルですよね。物議を醸します。まぁ両方とも観たことねぇんだけど。そこで使用されたのがビル・ヘイリーの「ロック・アンド・ザ・クロック」という曲である。

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 なぜ「ロックンロール=不良の音楽」なのか? という問いへの答えは、この映画とそこで使用された「ロック・アンド・ザ・クロック」に起因するとおもう。当時、バイオレンスなシーンが多かった「暴力教室」は、若者の暴力や非行を扶助したとみなされる。はっきり言って問題作である。

 

 その問題作のなかで鳴り響いた「ロック・アンド・ザ・クロック」はむろん、不良の音楽と結びついてしまうのである。


Bill Haley & His Comets - Rock Around The Clock (1955) HD

 

 

 しかし、この楽曲を歌ったビル・ヘイリー・アンド・ヒズ・コメッツのフロントマン、ビル・ヘイリーは不良の音楽を担うカリスマにはならなかった。否、なれなかった。彼はちょっと陽気なおじさんすぎたのである。

 

 そのロックンロールのカリスマという空席をうめたのが、なにをかくそうエルヴィス・プレスリーだったのである。

 

 ちなみに。ロックンロールの市場はどう考えても若者である。世界大戦が終わり、物資飽食のアメリカでは若者の使えるカネが増えたのである。そこで花開いたのが音楽産業であり、もっと言えば若者の特権たる「ロックンロール」であった、とおれはおもう。

 

 しかし、音楽にそこまで魅力的なパワーがあるか、というと、そうでもないんじゃないか、とおもう。やはり人間の感性をもっとも揺さぶるのは「視覚」である。「ロックアンドザクロック」は視覚的刺激のある「暴力教室」とドッキングして若者を魅惑した。

 

 視覚的刺激の重要性は、同年に「理由なき反抗」が大ヒットしたことも証左になるであろう。ジェームス・ディーンという役者はアメリカのみならず世界中を魅了した。

 

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 エルヴィスにはその視覚的刺激があった。ロックは純然たる音楽のみのエンターテインメントではない。そこにはパフォーマンスが不可欠であると、おれは愚考する。