まだロックが好き

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おめおめと生きている日記

うちには家事の男女平等なんていらんのじゃ

 どうも、りゅうちぇるです。妻が育児でたいへんなので、炊事をこなしています。と云った瞬間、真っ白な光の世界に包まれる――。どかーん。「いいね」の核爆発。すごい! 素晴らしい! 夫の鏡! といった賞賛の黒い雨。「こんな旦那さんだったらいいな」というキノコ雲が立ち昇っている。

 

 いっぽう、おれは毎日洗濯をしたり、息子の保育園の仕度をしたり、風呂を掃除したり、週末には作り置きという未来の限定、つうか、夕餉や弁当制作がお手軽にできるように仕込みをしておく、あと息子の上履きを洗う、ロボット掃除機では手のとどかない箇所の清掃、などをこなしているにも関わらず、だれもちっとも誉めそやしてくれぬのである。

 

 どうして? ぼくがりゅうちぇるじゃないから? そんな。ぼくはぼくなのに。でも、でもだったら、ぼくはりゅうちぇるになる。りゅうちぇるのなかのりゅうちぇる、すなわち真りゅうちぇる。否、りゅうちぇる王に、おれはなる! なんてね。うそうそ。つまらんジョークだよ。

 

 世の女性が主張するに、「男性も家事をやるべきだ」ということである。蓋しその通りである。家事の男女平等。不平不満のない世界。ノーモアウォー。素敵じゃないか。ということで、今日から我が家も家事の男女平等をスローガンにやっていくから。

 

 ということで、炊事。そのまえに食材の確保である。山に入って兎やキツネを狩る。山菜を摘む。竿をこしらえ、川魚を釣る。なんてこたぁせんでも、スーパーマーケットという便利な場所にいけば、この世のありとあらゆる食材が手に入るのである。ここがオールブルーか。

 

 そいで各種材料を買い込む。なかには2リットルのペットボトル水などがあり、すさまじく重い袋もある。しかし、ここは男女平等。すこしく重くとも、男女平等の倫理にしたがうべきで、つまり、妻も重い袋を持ち、おたがいに食材の重さ、その蓄獣の命の重さを分かち合うべきなのである。

 

 また、なにも毎日の庶務が家事ではない。ときに、テレビやレコーダー機器の配線、高所の電球の交換、というのも家事である。ということで、こういうのは一般的に男性のほうが得手とされるが、ここでも男女平等の掟を守らねば、自家撞着、家事の男女平等に矛盾が生じるのである。

 

 そういうと、「女性は筋力が無いから」や、「メカは男性のほうが得意」という反駁をうけることになるかもしれない。しかし、踊るさんま御殿に出演していたシェリーというひとの理念「料理が不得意なら料理教室にかよえばよい」というのに忍従すると、「じゃったら女性もジムにかよい筋力をつければよいし、メカに関しては電気工事士の免許をとればよい」ということになる。

 

 だが、そんなことはしない。おれは妻に重いものを持たせることもないし、家電の庶務をさせたりはしない。この世でもっとも大事な妻、世界にひとつだけの花の妻をそんな憂き目にあわせるわけにはいかぬし、ってかそもそも得意なひとがやったほうが、事態ははかばかしく進行するのである。

 

 なにより、おれにはプライドがある。婚姻するさいに結んだ、「あなたを幸せにする」という約束、それを守るというプライドである。おれは妻にラクをさせてやりたい。収入面での不安があるので妻には労働をしていただいている。労働をしてくれている妻にこれ以上なにを望むの。せめて家事くらいはやらせてくれ。

 

 夫婦も男女であるが、そんな平等いらぬのである。妻は主君です。おれはけっこう尽くすタイプ。べつだん尻にしかれている、とかそういう古臭いものではない。これはサムライの魂だよ。

 

 というと、おればかりが家事をしているっぽいが、妻もしてくれる。我が家は家事の認識が夫婦間でできているとおもう。それに冒頭で「だれもほめてくれない」と書いたが、うそである。妻はいつも「ありがとう」と言ってくれる。うふふ、拍手はひとりぶんでいいのさ。

ストレンジカメレオン(ORIGINAL STORY)

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