過日。リットーミュージックが印刷しているギター専門月刊誌「ギターマガジン」を百年ぶりに購入した。
そのメインコンテンツが「ニッポンの偉大なギタリスト100」というものであったからだ。1位はもちろんchar氏であった。納得のいく、というか、まぁそうだろうなという結句だった。
Guitar magazine (ギター・マガジン) 2017年 8月号 [雑誌]
- 作者: ギター・マガジン編集部
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2017/07/13
- メディア: 雑誌
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私はなんだかんだレッチリ時代のジョンフルシアンテが一番好きかもしれない。
けれど、ニッポン人の私はニッポンの音楽に毒されてきたわけだから、ニッポンの偉大なギタリストを個人的な見解に基づいて挙げたいと思った。パクリ企画である。
一概に「これがいいギタリスト」という感じではないかもしれない。
けど私のなかでは偉大なギタリストなのである。
画像のおさまりが良いので9選にした。ちなみに1位とか順番なんてきめらんないっす。
横山健
本誌でも10位であった。
この人がいなかったら私はバンドをやっていなかったかもしれない。だから個人的に横山健は罪人。ゆえに身体に墨がはいっているのだろう。
私は横山健のギターってやわらかいギターだと思っている。
メロディックハードコア、まぁ本人はパンクだと申しているが、いわゆるメロコアのギターである。ダダーダダダーダダダーダって具合のダウンピッキング。スピード感ある激烈なイメージ。でもこんなに柔らかなギターを弾く人はいないんじゃないかな、と思うようなギターを弾くんだケニー。
やはりメイキングザロードが好き。ライブではがっつり歪ませているが、コンパクトディスク録音物のギターはフレーズを浮かせるために左右のパンのどちらかはクランチ気味で録音されている。ギターはクランチがいちばんおいしい音だと思う。そして弾き手の力量も測られる。そんな具合だから、とにかく鋼の弦が眼前で振動しているような感覚が芽生える。レスポールのハムキャンセリングで収束された弦の揺らめき。けっこうピッキングが強いんだと思う。フレーズ的にはほんとうにメロディック。歌えるようなフレーズを弾く。あとたぶんこの人は腰が強い。低めに構えたギターがかっこいい。
ちなみに私がはじめて楽器で覚えた曲は「Brand new sunset」。ベースだけど。
山内総一郎
私はフジファブリックが大好きなのです。
というか志村正彦という人間に敬虔な信仰心を抱いている。
だけど志村だけが好きだからフジファブリックが好きなわけではない。
私はフジファブリックは志村と山内総一郎と金沢ダイスケのバンドだと思っている。
こと山内総一郎のギターは変幻自在である。本誌では74位。
フジファブリックはTEENAGERが名盤だが、FABFOXを推したい。
フジファブリックという奇矯な楽団にマッチングさせたフレーズの中にも、山内総一郎の音楽的素養と色がにじみ出ている。1曲目の「モノノケハカランダ」でのソロにはすべてを払拭させる暴力的なブルーズの素養があるし、名曲「銀河」でもワウを使用した縦にも横にも伸びるファンクなギターが展開されていてマジかっこいい。
でも山内総一郎のギターフレーズはもう山内総一郎のギターフレーズなので、コピってまねてパクってもすぐ馬脚をあらわしてしまうから山内総一郎フォロワーは気をつけたほうが良い。
- アーティスト: フジファブリック,志村正彦
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2005/11/09
- メディア: CD
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西川弘剛
GRAPEVINEのギタリスト。私は本誌にアニキの名前が無いことに不服である。いや1票とか入っているんだけど。こんなに上手いギタリストはいない。
たしかにアニキはポップなギターを弾くと思う。メロディックというべきか、キャッチーというべきか。XTCが好きっていうのがうなずける。だから目立つというよりは曲に涵養してしまっているフレーズを弾くので、ギタリストとしてぐいぐい前にくるタイプではないかもしれない。
けれども私は彼の職人気質のフレーズがとても好き。ギタリストとして存在しているのにギターのことよりも曲全体のアプローチを考えている。ってゆうかグレイプバインがそういうバンドなのだけれど。それなのにスライドバーをいかしたフレージング、それがもはや曲の要になってしまう。豪儀だ。
そんな西川アニキの「引いているのに曲の要になってしまっているギター」を感じるのにはベストがいいと思う。ってかこの人はハズレを弾かない。
俺はグレイプバインがすっごい好き。
やっぱりGRAPEVINEがいちばん格好良い - まだロックが好き
Best of GRAPEVINE 1997-2012 (通常盤)
- アーティスト: GRAPEVINE
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2012/09/19
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名越由貴夫
私があらためて彼を意識したはYUKIちゃんの「うれしくって抱き合うよ」に含まれる楽曲を聴いていたときである。とにかくプレゼント、コズミックボックス、ランデヴー、ミスイエスタデイのギターがアルバム内で異彩を放つほどのかっこよさだった。
とくに難しいことをしているわけじゃないのにフレーズのひとつびとつがめちゃくちゃエモい。で、これは誰が弾いているんだ!と思ったら名越さんだった。YEN TOWN BANDじゃん!と思った。やっぱこの人すごい人だと思った。
基本的にノイズ轟音系の人だけど、バンドで弾けと言われたらしっかりと楽曲にあった気持ちよい音楽、でもうちに秘めるその美しいまでの獣性がにじみ出てきてしまう人だと思う。
この人をあげるならコーパスグラインダーズを挙げるべきかもしれないが、あえて椎名林檎の「日出処」を名越由貴夫のギター堪能盤としてあげたいな、と思う。ってか「NIPPON」の演奏陣、豪華ですよね。本誌25位なんだけど、見開きのページに田淵ひさ子や吉村秀樹がいて胸が熱くなる。ついでに生方真一もいる。いちばんすきなページかも。
藤原基央
バンプオブチキンはギターロックバンドだ。ややもとするとバンプファンは「歌詞」を優先させたがる。それもありだろう。音楽の楽しみ方はそれぞれだと思う。
けど、私はバンプを楽しむのなら、あのしつこいくらい美しいギターアンサンブルをもっと聴いてほしいな、と思う。
であればギタリストのほうの名をあげるべきかもしれないが、おそらく全体的なバンドの重奏を思案しているのは藤原だろう。だから彼を挙げたい。この人はギターを鳴り物として、けれども根底にあるギターという楽器のもつ歴史的ニュアンスを活かそうとしている気がする。
頃日、コスモノートばかり聴いている。
1曲目の「三ツ星カルテット」からアコースティックギターの「おいしい鳴りかた」みたいな正々堂々としたフィンガリングワークがめちゃくちゃ美しいし変拍子も心地よく響かせるメロディセンスもやばい。基本的にこのアルバム変拍子とか多いし、HAPPYの代理コードとかあるし、聴くたびに発見があって驚愕する。音楽家としてのギタリスト。
- アーティスト: BUMP OF CHICKEN
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2010/12/15
- メディア: CD
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真島昌利
どんなテクニックを持ったフレーズを駆使しても、マーシーがEのオープンコードを鳴らすだけで「そんなのどうだっていい」と思わせることが出来る。なんなんだ、この説得力は。
私はブルーハーツよりもクロマニヨンズよりもハイロウズが好きなんだけど、ブルーハーツの野音ライブがとても良いと思う。めちゃくちゃハウっているけど。
私はなんだか落ち込んだりするとき「夕暮れ」という曲の
はっきりさせなくてもいい あやふやなまんまでいい
ぼくたちはなんとなく 幸せになるんだ
という一節を歌ってしまうのだけれど「夕暮れ」のスタジオバージョンにはマーシーのギターが入っていない。ヒロトが「うるさいから」と言ってマスタリングのさい消したそうだ。でもこの野音ライブ盤ではそのギターが聴ける。
やさしいロックンロールだった。弾きまくって音数は多いんだけど、私はうるさいなんて感じなかった。
後半の「月の爆撃機」、「1000のバイオリン」も大好き。本誌11位。
アベフトシ
アベが好き。
私はこんなにピュアでまっすぐなギターを弾く人を知らない。
とても凶暴で烈しくて「ミッシェルの曲は終始、おれのソロ」って言っちゃうような傲岸不遜な人だけれど、この人の本質はロックンロールを信じ続けるピュアな心だと思う。
本誌で7位。
てか以前にアベフトシに対しての日記を書いた気がする。
たぶん同じ事をかいてしまう気がする。以下リンクです。
- アーティスト: Thee michelle gun elephant
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 1998/11/25
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奥田民生
奥田民生は本誌で50位だった。
奥田民生ほどファンと世間との齟齬がある人はいない気がする。
鷹揚で飄逸的なアティチュードから世間様では脱力的怠惰な人間と思われるようだ。というか私の妻がそうおもっていた。それとっても誤謬。
こんなに音楽に熱狂的に真剣な人はいないんじゃないかと思う。歌だってめちゃくちゃパワーがある。
その熱狂的真剣はギターにも通底している。
コンプというミニアルバム、めちゃくちゃギターがかっこいい。
「ギブミークッキー」めっちゃ弾きたくなる。
「快楽ギター」もめっちゃ好き。
彼のエレキギターはロックンロールの縦ノリが強くてハネるギターなのに出音はロックンロール独特の後ろノリの「もたつき」がある、というイメージ。男の憧れ。
山口隆
好きなギタリストは?と言われてこの人の名をだすと、ギターをかじったことのある人ならば「あの人めっちゃうまいよね」ってなる。それがサンボマスターのギターボーカル山口隆。
ライブなどではぐちゃぐちゃ。でもその基盤にはファンクやソウルやロックンロールの教養。ってかこれらの音楽に「教養」なんて言葉は愚にもつかないと思いますが。それらが曲中からにじみ出てしまうギタリストとしての韜晦。
「いいギタリスト」というのは、ギターがうまいというよりは「ギターが好きで好きでしょうがない」ということなんだと思う。この概念は上記すべてのギタリストに当てはまると思うけれども、山口隆には改めてそれを感じた。
じっさい曲聴くとテンションコードやけっこうむずかしい運指のソロを弾いている。
でもそのテクニックよりも魂の篭ったピッキングによる「間」の取り方、というかこの人すごく「横」のあるギターを弾くと思う。とてもいいギタリスト。
まとめ
こうしてみると、私はテクニック重視のギタリストというよりは「曲を活かす」ギタリストが好きなのかもしれない。
あと半分以上P90というピックアップを使っているギタリストだった。というのもたぶんピッキングニュアンスというものがたぶん好きなんだと思う。
ほかにもたくさん好きなギタリストはいらっしゃる。
だいたい「これ弾きたい!」とか思わしめた人たち。
あとはコピバンで弾いてみてすごい!と思った人たち。
フラワーカンパニーズ竹安の大きなストロークから曲を構成するグルーブパワーや、ボーカルに答えるように感情が飽和するソロ。
andymori小山田壮平のクリーンなのにうるさい、軽快なのに衝動に溢れているギター。
NCISてかエルレガーデン生方真一の運指やピッキングが無駄が多くて荒々しいのになんであんな流麗なフレーズ弾けるの。そんでもってパンチがあって曲になじんでいるのに個がでてしまうカリスマ性。
モーサムトーンベンダー百々の轟音もいける、カラフルな色彩も放てるムスタングというギターのポテンシャルをすべて吐き出させた才気溢れるギター。
マキシマムザ亮君が教えてくれた歌いながら弾くための空ピッキングの大切さ、ってか亮君さんはうまいです。歌いながら弾くとき運指ってどうにでもなるけどピッキングって難しいよ。とくに裏とかあるリフ。そんであんだけ動いてる。あの人すごい。
イエローモンキーのエマなんてのはギターと楽曲に対する誠実さが溢れている。「バラ色の日々」はまさにその骨頂。
ジュディマリのタクヤは俺はこの人日本のジミヘンだと思っている。自由すぎる。コピーするのがめんどくさくてしょうがない。フレーズを覚えてもノリで苦労したりする。なんなんだあいつ、と思う。
そんな感じでもっとたくさん書きたかったけど、きりが無いのでこのへんで擱筆。