まだロックが好き

まだロックが好き

おめおめと生きている日記

Anker SoundCore 2 を購入した

 よろず事象に於いて「2」というのは具合がいい。ロックバンドのセカンドアルバムには良いものがおおいし、なによりターミネーターは2が最高である。

 

 むろん駄作と呼ばれるものもあるだろう。しかし、なにをもって「2」の名を冠すのか。そこにはバージョンアップという意味がこめられる。改良の念がこめられているのである。

 

 過日。アマゾンのサイバーマンデーという、割安で商品を販売する行事がネットの世界で行われていた。ドストエフスキー曰く「貨幣は鋳造された自由」である。つまり、割安で物品を購入することは、金銭に余裕がうまれるということになり、すなわちそれは自由な身代に繋がるということになるので、自由を愛する戦士たる自分は、賎しくもアマゾンのページを虱潰しにながめ、結句「アンカー サウンドコア2」というブルートゥーススピーカーを購入したのである。

 

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マーシャル二段重ねみたい

 

 上記一葉のデジタル写真によって、ばれちゃうとおもうのだが、おれはすでにアンカーのブルートゥーススピーカーを所有している。いわゆるこれが「1」というものである。芭蕉の行脚掟に「一、衣類器財は相應にすベし、過ぎたるはよからず、足らざるもしからず」とあるのだが、買っちゃった。まったくもって赤面忸怩たるおもいである。

 

 だがしかし、このアンカー「2」の説明書きによると、「とても低音が出る」との主張である。芭蕉の刻舟求剣に固執するよりも、よりよいベースサウンドで生活を向上させるべきだとおれはおもう。そういった気持ちが日本の経済を良くするのである。これは国益である。

 

 あまり自慢するような耳をもっていないのだが、すこし比べて聴いてみる。なるほど「1」よりも低音が出ているように感じる。低音が出てくると、高音域の鋭さが緩和されるような気がする。なにより音の広がりがとても良い具合である。

 

 ちなみに、おれは試聴するさいビル・エヴァンスという人のトリオジャズアルバム「ワルツ・フォー・デビー」というアルバムを聴く。とても有名なジャズアルバムなので、にわかくさい匂いがぷんぷんするかもしれないが、よく聴くアルバムなので、分別がつけやすい。

 

 ピアノの鍵盤を押し込んだ静謐な残滓が息づいている。ドラムの舞い散るフレーズがパラリとしていて、うまいチャーハンのようである。なによりもベースである。粗暴なロックミュージックとちがってウッドベースを指で撥弦するため、アタック感が抜けない。それゆえに低音のでるスピーカーでなくてはスコット・ラファロのおいしいフレーズがなかなか堪能できぬのである。またこの「ワルツ」ではベースがハイポジションまでフレーズを伸ばすことも屡々あるため、低音の音域がどこまで判然とするのかがわかりやすい。

 

 幾年の空間を隔てたジャズが鼓膜に蘇るようである。ベイシーのスピーカーじゃあるまいし、そんな大仰な形容は馬鹿らしくもあるのだが、「1」に比すれば音楽を「聴く」という行為に徹することができるとおもう。

 

 シンプルなローファイサウンドはオッケー。じゃあハイファイなサウンドも聴かねばならない。おれは続けてベックというひとが去年流通させた「カラーズ」というアルバムも聴いてみた。

 

 このアルバムすごく音がいい。そんなふうに感じる。すべての音帯域が出ているようで、耳にすごい圧がくる。むろん、そこは聴きやすいようにミックス処理されている。もっと良い音のアルバムはたくさんあるかもしれない。だが、ふだん頭の悪そうなデカイ音をならしているだけのロックミュージックばかり聴いているおれにしてみれば、すごい音のいいアルバムなのである。

 

 やはり低音の出力がいい。あと音楽を再生中に本体を持ってみると、すごいぶるぶるしている。内蔵されたメカががんばっているのである。おれによい音楽を届けてくれるために、おまえはそんなにがんばってくれているのか。なんだか泣けてくる。

 

「1」に比べてよいところは、ボタンのたぐいである。押しやすい。しかし起動音は「1」のほうが好き。ピポパ、ピポー! とか言って。「2」はね、シュワーーーン! って音。すでにローがめっちゃ出てる。「わたしって低音すごいじゃないですかぁ?」みたいな主張がある。

 

 しかし、「1」。「1 」とかいいながら、実際は1でもなんでもなく、ただアンカーサウンドコアという名前なのだが、「2」が出てきてしまったので、けっきょく「1」と便宜上呼んでいるだけです。レッドツェッペリンのアルバムみたいなかんじだとおもってほしいなぁ。

 

 この「1」をおれは二年間使用してきた。おもに家事をするときに使う。スピーカーって、使えば使うほど音がマイルドになるというか、そういう向きがある。おれのオンキョーのスピーカーはいつだっておれ好みの音を出してくれる。

 

 そんなふうに「1」もなかなかマイルドな音になってきている気がする。気のせいかもしれないが、この世の万物はすべて脳の錯覚であるのだから、そういう「気がする」ってゆうのは人生においてすごく大事なことだよ、と言いたい。

 

 つまり「アンカー サウンドコア2」、とても良い買い物をした気がする。「1」のほうは妻が使っている。武田航平目当てに仮面ライダーのユーチューブ見てる。グリス人気なのか。グリスの「2」であるグリスブリザードかっこよかったもんな。やっぱ「2」は良いみたい。